青森へ(1日目)

仕事はひと段落ついたような、一難去ってまた一難のような。
とにかく遅い夏休みを一日取って青森に帰ることにした。
 
6時起き。
ペットシッターさんを迎える準備をして、あまちゃん、らんまんを見て家を出る。
歩いていてふと気づく。
僕は休みを取ったが世間は普通の平日。しかも新学期の始まり。
大江戸線も丸の内線も通勤する人たちで混んでいた。
 
新幹線は09:36発。
グランスタで弁当を買う。
妻は崎陽軒シウマイ弁当。僕は過門香の中華弁当。
運転する妻に気兼ねして缶ビール、缶チューハイは飲まないつもりでいたら
妻は飲めばいいという。結局缶チューハイとロックアイスを買ってしまった。
 
新幹線に乗り込む。
平日の朝なのでさほど混まない。しかし大宮で結構乗ってきたか。
ふたつ前の席に座っていた夫婦がるるぶの青森を見て楽しそうにしていた。
弁当を食べ終える。
角幡唯介『アグルーカの行方』と
レコードコレクターズの増刊『無人島レコード』を読む。
缶チューハイも2本飲み終えていつのまにか寝落ち。
気が付いたら新青森駅の手前だった。
 
今回はJRのレンタカーを借りることにした。手続きを終えて乗り込む。
昼は「ひらこ屋」へ。津軽新城方面。
車ならすぐだけど普通の観光客がバスで来るには不便か。
これまで義弟に5回ぐらい連れてきてもらって入れたのは2回かな。
とにかく人気店、青森市で一番おいしい煮干しラーメンという声も。
食べログを見たら平日でも行列になると。
(より正確には券売機を買うと呼び出しのやつをもらって車で待つのだとか)
覚悟して行ったら案外そうでもなく。
ちょうど満席ですぐ空いて中に入れた。
 
僕はバラそば、賄いチャめし。
妻はあっさり煮干し、筋子めし。
それぞれ煮玉子を追加。
バラそばはラーメン丼を埋め尽くすバラ肉。
煮干しの本質を突く味というか、
煮干しならではの酸味・エグ味・旨味がバランスよくまとまっていて、
それでいてくどさがない。やはりさすがだな。
 
県立美術館へ。
シャガールのアレコ4幕が揃ってるうちにもう一度見たい、というのと
『生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ』を見たいと。
車を駐車場に停めて中へ。地下の展示室に入る。
エレベーターで一緒になった老婦人が同行してよいかというので快くOK、3人で見て回る。
昨日のNHKあさイチ』でこの棟方志功展のことが取り上げられていて、
それで興味を持って八戸から一人、車を運転して見に来たのだという。
それとなく年齢を聞くと70代後半、僕の母よりも上だった。
元気だなあ。僕らと3時間近く見て回って疲れも見せず。
 
展示は4章に分かれていた。
1)青森から東京に出た若手の時期
2)富山県の福光町(今は南砺市)に疎開した時期
3)世界に羽ばたいた時期
4)自画像
 
棟方志功記念館、県立美術館の所蔵品はむしろ少なくて、
一番多かったのは日本民藝館だったように思う。
柳宗悦との関係性の深さ、というのが隠れたテーマのひとつだった。
もちろん、2)の時期は南砺市の美術館に所蔵していたものが多い。
この頃は板木を入手することが難しく、書画が中心となったというのは
あ、そうか、と僕にとっても発見だった。
戦争の時期は戦意高揚のための作品も描いていたというし、
一方で時流に合わず展示を禁止された作品もあったという二面性が興味深かった。
 
棟方志功記念館で見たことのある作品が多かった中で
今回初めて知った作品も多かった。
倉敷市のホテルのために製作した『大世界の柵』はピカソの『ゲルニカ』のようであった。
こんなどす黒い棟方志功があったなんて。
また、アメリカを訪れたときに刺激を受けて作られたウォルト・ホイットマンの柵。
それまでの土着的な津軽を、日本人の根源を描いてきた棟方志功
器用に明るいタッチでモダナイズされている。
 
谷崎潤一郎獅子文六の単行本に始まって
中学の数学教育の研究誌(!)など様々な雑誌の装丁、
亀井堂などの包装紙なども展示されていた。
 
途中、順路的にアレコ・ホールを横切ることになって、
ちょうどそのとき、映像による解説。
座って4幕のストーリーを聞いた。
いつ見ても、圧巻。……ではあるが。
4幕のうち秋はフィラデルフィア美術館から長期貸与中。
戻ってもそれだけでは客が呼べず、残りの3幕が揃ってる青森県に貸し出して
レンタルフィーをもらった方がよほど金になるんだろうな、なんてことを考える。
 
八戸からの老婦人とは棟方志功展のところでお別れ、
(名前や連絡先の交換もなく清々しくあっさりと)
僕らはその後成田亨、あおもり犬などの奈良美智のコーナーを駆け足で見た。
ミュージアムショップでウォルト・ホイットマンの柵の縮小コピーと額を買っているうちに17時の閉館。
 
家に帰ろうとすると雨。着いた頃にはかなり激しくなっていた。
母に下まで降りてきてもらって駐車場のチェーンを上げてもらった。
休みの時期をずらして青森へ。
9月に入れば涼しいかなと思いきやそうでもなく。
それでも今日になって、雨もあって涼しくなったとのこと。
どんだけ今年の青森は暑かったのか。
雨もずっと降っていなかったと母は言う。
 
夜は母のリクエストで鰻。港に近い「川よし」
今回が2回目かな。
事前に予約していて2階の個室にしてもらった。
せっかくなので僕は特上。4,950円だったか。
焼き加減はふんわりと軽く、後味はしっかりと。
タレは甘くはなく、津軽っぽいじょっぱりな塩加減をどこかに感じる。
だけどしつこくはない。あっさりしている。
やはり青森で鰻と言えば、ここだろうか。
特上はお新香に枝豆とメロンを少し追加。
食後のフルーツにみかんが付いた。
 
帰ってきて19時すぎ。雨も止んだ。
高校の同級生との LINE グループでは、やはり今日雨で涼しくなったのだという。
それでも僕にとってはまだなんだか暑い。
風呂を沸かして入る。
缶チューハイに青森の水で作った氷を入れて飲む。