青森へ(3日目)

昨晩は食べ終わった後、部屋でのんびり。
温泉と行ったり来たりを繰り返すだけ。
宿の近くに浅虫クラフトビールの店があって気になっていたけどもはや外に出る気になれず。
そういえば、昨晩の食事の最後はリンゴとホタテのグラタン。
リンゴをくりぬいてその上にホワイトソースのグラタンを。
この宿の名物で初めて泊った人に提供される(らしい)。
妻が初めてだからかな。
いつかこの宿へ妻も、というのが10年かかってようやく叶えられた。
 
その妻は部屋でバスケのワールドカップカーボベルデ戦。
これに勝てば48年ぶりに自力でのオリンピック出場なのだという。
僕はイヤホンで音楽を聞きながら
『アグルーカの行方』と『無人島レコード』を読む。
缶チューハイを飲む。
1時間に1回ぐらい温泉に入る。
21時で男湯と女湯を入れ替え。
ヒノキの小さな風呂から、大理石風の少し大きな風呂へ。
こじんまりしたヒノキの方が僕は好きかな。
 
23時過ぎに寝る。
道路を行き交う自動車の音、貨物列車の音を聞いているうちに眠る。
何度か目を覚ます。
7時にアラームが鳴ってさっそく温泉に入りに行く。朝風呂。
上がって母の部屋に行ってみる。
早起きして既に入っているという。
入れ替わりで妻が入りに行く。
部屋で NHK のニュースを見る。
 
宿の書棚から借りた小館善四郎の画集を眺める。
一昨日の「川よし」でその名前を知った。
旧制青森中学で棟方志功を教えたとあるが、版画ではなく洋画だろう。
少女は深い赤の服を着る。津軽の冬を描いてもワインレッドが目立つ。
戦後、レモンのある風景を描くようになる。
詳しく具象を描くこともあれば、デフォルメされた幻影風景を描くこともある。
どんどん削ぎ落とされ、切り詰められていく。
しかし初期と切り離された訳ではなく、根底にあるものは大きく変わっていないと気づく。
鮮やかな色彩感覚を持ちながら、静かな、落ち着いた風景。
 
8時から朝食。昨晩とは別の部屋で。
隅の方のソファーにぬいぐるみが並んでいる。
昆布茶が出て、納豆、鮭、日本の旅館の朝ごはん。
優しい味でやはり美味しい。
食後のコーヒー。
最後また温泉に入りに行く。
 
NHK の美術の番組を見る。霧の彫刻の第一人者の女性。
なんで霧? と思って見てたら父は雪の結晶で有名な中谷宇吉郎だった。
 
途中まで見てチェックアウト。
浅虫から青森市街地まではすぐ。
10時過ぎには家に着いた。
母はゆっくりするとなって妻と青森駅前へ。
アウガの駐車場に停めた。
3階に停めて、周りは青森市の施設。日曜なので誰もいない。
ここは昔商業施設のフロアだったのになあと思うと感慨深かった。
 
らせん堂さんにご挨拶。
今年の青森の異常な暑さについて話す。
エアコンを家に入れたいと思っても青森市内では在庫がなくなって年内は無理と言われた、
という話を聞いた。
この3日間のどこで聞いたんだったか、青森市の小学校もエアコンが導入されたと。
ちくま文庫つげ義春全集のうち「リアリズムの宿」など貧しい宿への旅をモチーフにしたのと
中上健司と村上龍の対談集『ジャズと爆弾』、2冊の文庫を買った。
成田本店で深浦町の「深浦マグロステーキ丼」をテーマにした『ご当地グルメヒーローズ』という本が目に留まって買う。
2階の PAX で Astrud Gilberto の CD を買う。
 
妻は僕が PAX を見ている間に先に、LOVINA へ。
気になっていた雑貨屋「三ノ月舎」を覗いてみたいという。
行ってみるとニコニコ通りのあのマークのキーホルダーやトートバッグ、
合浦公園の棒パンのグッズなど徹底してローカルネタ。しかもおしゃれ。
架空の青森市の書店をイメージしたブックカーバーとか。
これはうまいなあ。
 
昼はアウガに戻って「丸青食堂」で食べる。
前はおばちゃんたちだけで運営していたのが厨房の中に若者が増えている。
ずっと仕事に関係のない世間話を楽しそうにしている。
向かいの区画が撤退したのをテーブル席にしている。事業拡大?
む? と思いつつ名物のカレーを食べようとしたら今日は品切れだという。
妻はクリームコロッケの定食、僕はホタテフライの定食にする。
アウガの駐車場に停めたので駐車券の足しにしようと来たのに、提携していないと。
なんだかなあ。
ホタテフライもクリームコロッケも悪くはなかったが。
後で来たお客さんに食材がなくてあれはできない、これはできない、ばかり。
大丈夫か? と不安に思う。
丸青食堂に限らず、アウガ地下の魚市場に対して。
半分以上が撤退して全然活気がない。
 
A-Factory を少し覗いて帰った。
13時過ぎ。母と少し話しているうちに疲れて眠くなる。
少しだけ寝て家を後にする。
母が下まで送りに来る。
青森はすっかり秋の空。
晴れると暑いが、湿度はない。
 
国道7号線を西へ。
途中ガソリンを満タンして駅でレンタカーを返す。
JRE のポイントで豊盃と作田の小瓶を買う。
海峡するめを買おうと行ってみたら店はあってもするめが見当たらず。
不漁で今年は作っていないのだという。
代わりにあたりめを買った。
他、缶チューハイなど買って乗り込む。
 
東北新幹線、日曜の昼は半分ぐらいか。
豊盃と作田を飲みながらつげ義春の短編集を読み、
その後は『ご当地グルメヒーローズ』を。
そのうちにすぐ東京に着いてしまった。
2泊3日の青森帰省もあっさり終了。
 
東京駅の駅弁屋『祭』で妻が山賊焼きの弁当と天むすの弁当を買う。
夜はそれで。
光が丘の駅に着いてタクシーに乗って帰ってきた。
みみたはが元気にお出迎え。
この3日間も暑くてペットシッターさんから具合悪そう、カリカリも食べていないと連絡入っていたが。
どちらかというと寂しさなのかなあ。
帰ってくるといつも通りのみみただった。
 
母に電話し、ポツンと一軒家を見ながら東京駅で買った弁当を食べた。
次に帰省するのは年末年始かな。