架空の土地の地図を描く

用事のない土日は部屋に閉じこもって小説を書いている。
気が付いたら、いろんなものを同時並行で進めていた。


・書きかけの長編小説1つ(半分ぐらい)
・書きかけの短編小説1つ(出だしだけ)
・書き終えて手直し中の短編小説2つ(そのうちの1つはこの前の土曜に一気に書き上げた)


マチュアにしては頑張っている。
今抱えているものだけで作品集が1冊、(自費出版で)出せるだけの厚さになるなー、なんて思う。
以前友人の同人誌に載せた「ドライブ」もそこに加えて。


小説に関しては調子いい。非常に調子いい。
後はこれがいかにして日の目を見るか。
(自分のHPで公開とか、友人にメールで送るというレベルじゃなくて)

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小説を書く上で最近コツというか確実なことが1つ分かったのでここに書いておく。


それは、
架空の土地を舞台にした小説を書くのなら、
まずはその土地について地図が書けるぐらいに緻密な想像をしておくこと。
当たり前といえば当たり前なんだけど、
これができてない作家志望の若い人たちは多いのではないか?
少なくとも僕はできていなかった。


今更ながらリアリティーってもんは非常に大事だと思う。
もちろんこれはノンフィクションだといいってことではない。
どこまで想像力を駆使して1つの世界を作り上げるかということ。
安っぽいペラペラの書割のような背景をバックに展開する小説なんて
やっぱ誰も読みたくない。
現実の世界と作品の中の想像上の/虚構の世界とがどのような継ぎ目を持ち、
どのようにリンクしていくか。
小説の醍醐味の1つはそこにあると思う。
映画監督であれ、小説家であれ、はたまた絵描きであれ、もしかしたらミュージシャンであれ、
完璧な1つの「世界」「世界観」を提示できるかどうかが資質として1つのポイントとなる。
そこにその人の作家性というものが存在する。
そこで描かれる世界とは情報量が多くて
ひたすら細部が描かれていたらそれでいいというものではなくて、
シンプルに何もなくても、たった1つの確固たる情念さえ宿っていればよかったりする。
(しかし、その境地に達した人はどのジャンルであってもごく僅かである)

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そんなわけで僕も仕事から離れている時間の多くを、
今書いている長編小説の舞台となる土地についての考察/探索に費やしている。
ここにグラフィカルに地図を書くわけにはいかないので
箇条書きで、かなりはしょってざっくりと、まあこんな感じ。


□時代背景
・近未来の日本。西日本と東日本とに分割され、東日本は大統領制に移行している。
 20年前に内戦が勃発したことが分割の原因となる。


□舞台となる土地
・そこは名前がなく、ただ単に「村」と呼ばれる。
・西日本の半島にある、海沿いの小さな村。
 電車や車に乗って来るよりは、日に2本出ている定期船に乗った方が早い。
・小さな漁港があるため、主な産業は漁業ということになる。
・村の中心部に位置する小さな丘の上に「教会」があって、その裏には墓地がある。
・丘のふもとには村で最も栄えている通りがある。
 酒場がいくつかあるぐらいで、村には
・通りのその中心には四辻があって、東の方には坂があって上った先に住宅街に出る。
 西の方に歩いていってもやがて住宅街となる。
 主人公はその西側の方にて以前「宿」を営んでいた家の一室を与えられる。
・村の北のはずれ、もう1つの丘を上っていった上に「病院」がある。
 周りは半分を林で囲まれ、何もない。残り半分は小さな集落である。


こんな感じ。
でもまだまだ足りない。
実際に小説に描くかどうかは別として、もっともっと細部を想像/創造していかなくては。
その世界の中で呼吸して、いきていかなくては。
戻ってこれなくなってもそれでいい。
自分の描く作品世界の中で死ねるのなら、作家として本望である。