ラジオ体操

世間では子供たちの夏休みが始まったようだ。
ここ何日か朝出社しようと歩いていたら、
紐を通したラジオ体操のカードを首からぶら下げている親子を何組か見かけた。


ラジオ体操、懐かしいな。
もちろん僕も小学校の夏休みの時には毎朝出かけた。
田んぼの脇にあった小さな神社の中にある小さな公園。
毎朝連れ立って公園まで歩いていって、始まるまでの間ブランコを漕いで、
どこまで高く上がれるか、スピードを出せるか、
ビーチサンダルをどこまで遠くまで放り投げられるか競争した。
近くの家のおっさんが(当時は大きく見えたものだ)
ラジオを持って現れ、体操が始まる。
終わるとカードに1人ずつ判子を押してくれる。
当時青森市に進出してきたばかりのロッテリアがスポンサーになっていて
ロッテリア青森市初のハンバーガー屋だった)
一日も休み無くラジオ体操に出て判子を押してもらった子供は
ポテトのSサイズをもらえることになっていた。


小学校の夏休みだけでなく
中学校でも高校でも体育の時間などラジオ体操をやったものであるが、
そういえば最近はとんとご無沙汰。
社会人になってから1度でもやったことがあるだろうか?
今、どういう動きだったっけ?と頭の中で音楽に合わせてトレースしてみようとしたら
最初の深呼吸の次から早くもわからなくなってしまった。
音楽を実際に聞いて体操を始めたらすぐにも思い出せそうなんだけど。

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美容と健康のために実は家で毎朝ラジオ体操をやっているという人がいたりするのかもしれない。


今僕は、若くてきれいなOLが毎朝ブルマーに着替えてラジオ体操をして、
終わるとシャワーを浴びてスーツに着替えて出社するという光景を想像した。


26歳、社会人4年目。
企画系の部署に配属されて可も無く不可も無く仕事ができる。
昼は同期の子たちとあちこちの店に出かけてランチを食べる。
次のボーナスでどのブランドのどのデザインの鞄を買おうかと悩む。
週に1回、日曜にプールに通っている。
今読んでいる本は桐野夏生
人には言えない趣味:ラジオ体操


音楽が無くてもその場で黙々と1人で「第1」はおろか「第2」までこなせる。
その動作が体に染み付いてしまっている。
リズミカルにきびきびと体が動く。手足がすらりと伸びて、しなやかに宙を舞う。
それでいて頭の中は空になっていて、無心になって、淡々としたものだ。


今日は彼氏が泊まっていったので、放送の時間が来てもラジオ体操ができない。
体がウズウズする。
どうしようか、やってしまおうか、
音楽有りと無しでは、彼氏に見られたときどっちが怪しいだろうか?
そろそろ打ち明けようかな。。。どうしようかな。。。
「私、実は、毎朝ラジオ体操をしないと1日が始まらないの」


ナナコ(仮名)は彼氏と2人でグアムに行ったときも
オーシャンビューのホテルでこっそりとラジオ体操をしていた。
そして「広々とした海辺で伸び伸びとラジオ体操ができたら気持ちいいのに」と思い、
いつかこの夢を実現させよう、と心に誓った。

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なお、ラジオ体操には幻の「第3」があるというのをどこかで聞いたことがある。