午前0時半に寝て、7時半に起きる。
今日は1人で地下鉄に乗って南の地区に行って、フリーダ・カーロゆかりの地やその他美術館を訪れる。
もそもそと荷物をまとめて9時前に部屋を出る。
出る直前にドアがノックされる。黙っているとガチャッと開けられる。
が、テレビの音に気付いたのか人がいることが分かって何かを呟いてまた扉を閉める。
たぶんルームメイドが部屋を掃除しに来たのだろう。同じメイドかどうかわからないが、
少ししてから部屋の外に出たとき、廊下の向こうを歩いているのが見えた。
なんと言ったのか分からないが笑顔でたぶん「おはよう」と言ったと思われるので
僕も聞いた通りに返した。たぶん笑顔で。
最寄の駅は「Sevilia」
ホテルを出て南に歩き、レフォルマ大通りを横切ってさらにそのまま南に歩くと着く。
10分もかからないはず。
途中、寄り道して郵便局を探す。母が絵葉書を送ってほしいと言っていたので送んなきゃなと考える。
「地球の歩き方」の地図を見ると昨日の集合場所のホテル「ガレリア・プラザ」の近くだった。
この通りじゃない、1本向こうだ、いや違うというのを繰り返した果てにようやく見つける。
ちょうど9時になってシャッターを開ける時間だった。
カウンターにて絵葉書を見せて「ア、ヤポン、ポルファドール」(日本までお願いします)と言うと、
なにやらスペイン語で言われる。まあ代金のことを言ってるのだろうと思って
手持ちに細かいのがなかったので50ペソ紙幣を出すと断られる。
どうも高額のお釣は支払わないことになっているようだ。
仕方なく諦める。また帰りに寄ることにする。
地下鉄(メトロ)の駅を探す。だいたいの場所はわかっているのだが、入り口が見つからない。
またしても、この通りじゃない、1本向こうだ、いや違うというのを繰り返す。
屋台やキオスクのようなものが集まっている一角があって、
ここかなと思うと当たりだった。
駅周辺は人が集まるということでこういう店がたくさん出ているということか。
階段を下りていく。通勤の人が多いのか、人々は黙々と降りていく、あるいは上ってくる。
薄暗いが危険な雰囲気はない。どこかの国にように物乞いがいるわけでもない。
チケット売り場にて2×2で4ペソ差し出すとガラスの向こうからチケットが2枚戻ってくる。
1枚は今使うためのもので、もう1枚は帰りのため。市内どこまで行っても2ペソ。
この1枚を自動改札機に通す。
さて、どっちが上りでどっちが下りなのかわからない。
目の前のホームにちょうど地下鉄が入ってきたが、とりあえず乗らない。
壁の掲示を見てどうも目的地が反対方向だとわかると、階段を下りて反対側のホームへと向かう。
これまたちょうど来たところだったので乗り込む。
メキシコシティの地下鉄は全てオレンジ色に塗られていて、割とかっこいい。
ポンコツの車両が走っている、なんてことはない。
席は空いていたが、座らずに立っている。
どこの駅を通過するのかきちんと把握しておきたかったから。
ボソボソとした声の車内放送を聞くだけだと絶対分からない。
車両は日本の地下鉄のように7人掛けの席が車両の両端で向かい合うのではなく、
ローカルの線のように2人掛けが向かい合って4人席となる、あの感じ。
空いている空間の利用のために2人掛けや1人掛けも配置されている。
具体的に言うとJR内房線のかなりローカルなやつに似ている。
日本では考えられないが、運転中に窓が空いてたりする。
停電なのか車両の明かりが消えて真っ暗になることもある。
停車時間はマチマチ。運転手が勝手に決めているのだろうか?
そういえば駅の壁に時刻表はなかった。5分間隔とかでバンバン走ってんだろうな。
物売りが乗り込んでくる。まずは新聞売り。
日本人(アジア人)だからと寄ってくることはない。誰も買わない。
次の駅で降りる。隣の車両に移ったのか、それとも次の電車にしたか。
何を売っているのかわからないが、何かしらの売り口上の後に音楽を大音量で流しだした。
手にはポータブルのCDプレーヤーを持っている。
CDを売っているのだろうか?
注意に気を配るが、何が起きるわけでもない。
日本人を珍しいと思うことがないのだろうか。
あってもみだりに話し掛けない国民性なのだろうか。
それともそもそも外国人というものにあんまり興味がないのだろうか。
「Pino Suarez」駅で乗り換え。
恐らくこれが乗り換えを指すのだろうという案内板に従っていくと簡単に辿り着いた。
駅構内は日本と一緒でキオスクのような店があったり、ピザ屋や軽食の店があったりする。
だけどものすごく薄暗い。人によっては怖くて歩けないかもしれない。
前乗ってたのがメトロ1号線で、次に乗ったのは2号線。
1号線が東西線だとしたら2号線は南北線だろうか。
発車してすぐに地上に出る。メキシコシティの街並みを眺める。
ガソリンスタンド、スーパー、何の変哲もない街並み。理路整然としていて、秩序がある。
アメリカのどこかの都市とたぶん余り変わらない。
どことなくなんとなくそこにラテン風味が加わっているような。
薄汚れた格好をしたチンピラみたいなのが乗ってきてパンクな叫び声の後、何かを売り始める。
服は洗ってないのか真っ黒。小銭をジャラジャラさせる。誰も相手にしない。
にこやかだけど幸薄そうなおじさんがガムを売りに来る。
ホームに駅名がわかりやすく表示されていないので、今どこなのかわかりづらい。
相変わらず立ったまま、それとなくキョロキョロして探る。
会社員や主婦らしき人、学校が休みなのか子供たち。
どういう人なのか分かる人よりは実はわからない人のほうが多い。
この人は平日の午前中にいったい何をしているのだろう?と不思議に思う。
そういう人ばかり。それがメキシコ。昨日の国民宮殿前にも暇そうな人がたくさんいたし。