未来は僕らの手の中

昨日の夜急遽、会社帰りに元同期の女の子2人と有楽町で飲んだ。沖縄料理の店。
元同期。2人ともとっくの昔に会社を辞めている。
僕だけがズルズルと残り続けている。


30代に差し掛かり、僕の知っている限り同期の男性たちの多くは
結婚して子供が生まれて、人によってはマンションを買っている。
普通に仕事をしていたらそろそろ昇進の時期だ。
人生設計というものがしっかりなされていて、
日々あれこれありつつも概ねその決めたとおりに歩んでいる。
そんな話になった。
相変わらずフラフラしてる僕は
「いや、いいよ、俺は。そろそろ小説家なるから」なーんて
何の根拠もない自信に基づいた相変わらずの夢を語るだけ。


誰それと誰それが結婚した、離婚した、
そういえばあいつはどうしているのだろう?
ノロノロとしたものではあっても着実に時の流れは過ぎ去っていって、
いつのまにか予想外の場所に押し流されている。
ブルーハーツはかつて「未来は僕らの手の中」と歌っていた。
そうだ、いつだって未来は僕らの手の中にあった。今でも僕らの手の中にある。
だけどその未来は、不定形ななんだかよくわからないものとして日々形を変えながら
ただ両手の中でゴロッとしてるだけ。常に持て余している。
そんな得体の知れないものを手にしているのが嫌になって、
多くの人はそれをどこかにそっと捨ててしまう。確実なものをその手で掴もうとする。
大人になるっていうのはきっとそういうことなのだろう。

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2人のうちの1人は会社を辞めた後、全然違う業界に移っていった。
学校に通ってその分野の知識を習得している。


彼女は学生時代にモロッコに行ったことがあって、その話を聞いた。
ジブラルタル海峡を渡ってタンジェへ。そしてフェズへ。
ヘナ(モロッコ特有の染料)で両手の手のひらにも甲にも
びっしりと模様を描いてもらった。
日本に帰って来ても当分の間それは消えなかった。

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酔っ払って帰ってきてさっさと寝た。


朝起きて小説の続きを書く。新しい長編のまだ最初の方。
書いてて楽しい。僕は今、このために生きている。
週末に書いて、いつか世に問う小説のために。


未来はまだ、僕らの手の中にある。