Dave Twomey

昨晩は高校時代の友人たちと高田馬場のインド料理屋でカレーを食べて、
その後学生向けショットバーみたいなところで飲んだ。
友人がルームシェアしている人が DJ をやってて、
その日は回さないんだけど渋谷のクラブで手伝ってるから行こうかってことになる。
スペイン坂をちょっとだけ上った地下。IDチェックを受けて中に入る。


クラブ系音楽は好きでも、クラブという場所はとても苦手。
これまでの人生でも数えるほどしか行ったことがない。
気ままに踊ってる人。VJの流す抽象的な映像。薄暗い中に折り重なるようなライト。
元来踊ることのできない僕は、誰彼構わず話しかけて友達になることのできない僕は、
手持ち無沙汰なままどう過ごしていいかわからなくなってしまう。


この日も始まりはそうだった。
ソファーも空いてなくてフロアに突っ立って
プラスチックのグラス持って飲んでるだけ。
さてさてどうしたもんか?終電もなくなるし。
とりあえずフロアの端の方へ。


ってときに交代して出てきたのが Dave Twomey なのですが。
驚いた。「かっけぇーー!!」と心の中で叫ぶ。
「この人天才じゃないか!?」とすら思った。
僕がこういう音楽を生で聞く経験に乏しいからなのかなあ。
いや、そうじゃないよ。絶対。すごく良質な音楽を DJ という手法で作ってたよ。
友人の友人の DJ 曰く、彼はイギリスから来た26歳で、
「これから絶対有名になる」とのこと。
フロアもいつのまにか大勢の外国人たち。「来てる人の大半が DJ」
DJ とその仲間たちが自然に遊びに来るってことなのだから実力は本物なんだろうな。


この人を検索してみると
http://www.higher-frequency.com/j_dj_chart/dave_twomey/index.htm
http://www.clubberia.com/Interview/Detail/?year=2006&id=41


大ざっくりにジャンルを分けるとハウスってことになるんだけど、
なんかもうカテゴライズ不能な音楽ばかりつなげてた。
ハードでミニマルなハウスで枠組みを整えつつ、
合間合間に扇動的な歌モノがあったり。
なんかこうぐにゃぐにゃしたやつとか呼びようのないものを挟み込んでみたり。
それでいて躍動的な音の粒がくっきりとそろってて、
どんどんどんどん頭と体の中に飛び込んでくる。
最近とんとなかった「音を浴びる」体験にめぐり合えた。
実に刺激的な音だった。


ターンテーブル2台とCD-J、ラップトップ、ミキサー。
ミキサーのつまみをいじりまくって音を歪めていく、音の粒立ちを尖らせていく。
散弾銃のような凶暴なノイズに豹変させてしまう。
かっこいい音楽を生み出している人の手元ってのはセクシーなものなので、思わず見とれてしまう。
僕は初めのうち、ずっと突っ立って眺めてた。たぶん口をポカンと開けて。
「友人の友人の DJ がもっと前の方で見なよ」ってことで連れられて DJ ブースのすぐ側まで。
その後ずっと背後っつうか真横から見ることができた。
よかった。
音に合わせて体を少しばかり揺らしながら。
見るとフロアは熱狂的に踊ってる人たちばかり。
僕は生まれて初めて、クラブというものを楽しめた。


Dave Twomey が終わって午前1時半ぐらいにはなっていただろうか、
次の DJ が始めててまだまだ続きそうだったけど、とりあえず帰ることにした。
タクシーに乗って環七、青梅街道と。
音楽の余韻に浸りながら。


東京にはもっとすごい DJ が何人もいるのだろうし、
それが週末ともなるとあちこちでプレイしているのだろう。
せっかく東京に住んでいながら
僕はそういうの、素通りしてきたってことになるのか・・・


追伸:
背後から覗き込んで見るとラップトップは何をしているかと言うと
いわゆるラップトップ系ミュージシャン的なことではなく、
2台のターンテーブルの回転する映像だった。なんらかの制御用なのか。
あと、次の DJ に交代するとき、ターンテーブルの針を交換してた。
ああいうのって自前なのか。なるほどなあと思う。
そう考えるとやってることはバンドの演奏と変わらないところがある。