汁講

日曜は編集学校のイベント「汁講」に参加。
教室ごとに番匠、師範、師範代、学衆が集まって、まあ要するにオフ会。
編集学校は意外とこういうの積極的に薦めてるんですね。
日々の稽古がネットで全て完結する一方で、
機会があったならリアルな人と人とのやりとり、息遣いも
大事にしましょうってことなんだろうな。
せっかく縁あって出会ったわけだし。


汁講について師範代の説明をそのまま引用すると

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[汁講]は平安後期の京都に生れた宴会の様式です。
それぞれが酒や肴を持ち寄って集うものです。これが
やがて室町の会所(かいしょ)になり、そこから「雑談」
(ぞうだん)を遊ぶ寄合文化が生まれ、さらに茶や花や
能などを育んだ中世サロン文化へと発展していきました。

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集合は14時に新宿西口のブックファースト
「三冊屋」のコーナーの前。
青山ブックセンターやリブロと提携して、編集学校がプロデュースしている。
http://es.isis.ne.jp/sansatsuya/
松岡正剛校長曰く、「本は三冊で読め」と。
「おんな」「からだ」など与えられたテーマについて、自分ならこの3冊を、というのを選ぶ。
その3冊がバンドルされて書棚にずらっと並ぶ。いろんな人のいろんな3冊。
このブックファーストでのテーマは「東京」だったかな。
お世話になっている師範の選んだ3冊も並んでいた。
著名人では三輪明宏やしりあがり寿の名前があったなあ。


そんなこともあって
第一部の「特別稽古」(?)は三冊屋をやってみましょうということに。
お題目は「我が17歳をイメージする三冊」
ただし、「未読の本に限る」という制約有り。
これが難しいんですよね。
既読有りなら「キャッチ22」「ライ麦畑で捕まえて」辺りを即答なんだけど。


ブックファーストの中を散らばって、
番匠、師範、師範代、学衆全員でそれぞれ三冊を選ぶ。
制限時間は30分。
カードにメモを取っている人があちこちにいて、ちょっと怪しい。
本棚が斜めに交差していたり、ブックファーストの中はまるで迷宮のよう。広すぎ。


その後、ヨドバシカメラ近くの喫茶店に移動して、清書。
三冊のタイトル・著者・出版社、キャッチコピー、説明文を書く。
描き終えた後のカードを裏返しにして集めて、シャッフル、1人に1枚ずつ配る。
1人ずつ順番に読み上げていって、「これは誰の三冊か?」を当てる。
・・・なかなか当たらない。意外な結果の連続。


もう一周して、タイトルだけを読み上げた後に今度は作者が名乗り出て、
私の17歳というテーマで自己紹介をする。
世界が狭かったから、物事を考えているようで何にも考えていなかったなあ
というようなことを語っていた人が多かったように思う。


11人いて、選んだ本は全然重ならなかった。
でも、英語学習法の本を選んだ人が何人かいた。
17歳というと受験勉強のイメージが強いんですよね。


僕が書いたのは:
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「我が17歳をイメージする三冊」(未読の本)


三冊のタイトル・著者・出版社をお書きください。
◆「『悪なき大地』への途上にて」ベアトリス・パラシオス / 編集室インディアス
◆「エリック・ホッファー自伝」エリック・ホッファー / 作品社
◆「連戦連敗」安藤忠雄 / 東京大学出版会


●三冊をつなぐキャッチコピー
 「この世界はどういう場所なのか?どう向かい合うべきなのか?」


●説明文
 「私にとってこの世界はいったい何なのか。どう戦うのか」
 強烈な生き方を貫いた、
 圧政下ボリビアの映画プロデューサー
 アメリカの市井の哲学者
 日本を代表する建築家
 この3人が自らの人生・思想を語る。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


17歳って背伸びしてあれこれ難しいことを考えたくなる年頃。
すごい人の生き方に触れてみたかったり、国際社会の薄暗い部分を覗いてみたかったり。
そういう気分の三冊。
あの頃の自分に読ませたかったというか。


制限時間30分の間にこの3冊を見つけたかというと実はそんなことなくて。
集合時間よりもだいぶ早く着いていた僕は
この前できたばかりのブックファーストを眺めてみたくてあちこち回っていたら
カルチュラル・スタディーズの棚で「『悪なき大地』への途上にて」を見つけて。
一目ぼれ、即買い。
帯にはこうあった。
「ウカマウ映画集団(ボリビア)のプロデューサーの社会的ルポルタージュ
 変化しつつある社会の断面を鋭くカットして、
 まるで文学作品のように差し出された18の掌編」
http://www.amazon.co.jp/dp/477380808X/


エリック・ホッファー自伝」は買わなかったけど、次の給料で絶対に。
この2冊、最初から目をつけていて、後付で共通点をでっち上げて、
残り1冊は最近気になる分野ってことで建築から。これはけっこう悩んだ。


自己紹介が終わって、その後、ご歓談。
話題になったのは例えば、「どんなときに回答を考えてますか?」
多かったのは電車の行き返りだとか。
寝ながら考えて、いつでもメモ取れるように枕元にメモ帳を置いているという方もいた。


場所を移動して、第2部。
高島屋の向かいの「かこいや」という個室の居酒屋。
「沖縄紅豚と彩り野菜の炉端蒸し」がうまかったなあ。


「破」に進んだらどういう稽古が待っているかとか、
昔の編集学校はこんなだったとかそういう話を聞いた。
教室運営の難しさだとか。
なんか自分自身のことは何も話さなかったなあ。
やっぱり編集学校のこととか稽古のことが気になるんですよね。


2次会は店を出てすぐのおでん屋の屋台。寒かった・・・
選んだのは僕。ほんとすいません。
熱燗を飲んで温まった。
ここで解散。


気がついたら中野富士見町で終電。タクシーで帰ってきた。
22時には解散したはずが、時計見たら0時半。
1人ガバガバと飲んでいた僕は新宿で丸の内線に乗って、眠り込んで、
新宿→荻窪→(折り返して)新宿→池袋→(折り返して)新宿→中野富士見町
というルートを辿ってたのではないかと・・・


恐るべし、汁講・・・
というか僕の酒癖の悪さ。