昨日は渋谷で映画をハシゴ。
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「ウェディング・ベルを鳴らせ!」
エミール・クストリッツァ監督の最新作。製作は2007年なのでなぜか2年遅れの公開。
前作「ライフ・イズ・ミラクル」がシリアスな作品だったせいか、今回はコメディ。
シリアス「アンダーグラウンド」→コメディ「黒猫・白猫」→
シリアス「ライフ・イズ・ミラクル」→コメディ「ウェディング・ベルを鳴らせ!」と来ているので、
次は絶対シリアスものだろうな。
鄙びた農村にて、発明好きで趣味落とし穴作りというお爺ちゃんと暮らす孫、まだ少年が主人公。
お爺ちゃんから牛を売りに行ったついでに町で嫁を見つけてこい!と言われて牛を連れて町へ。
そこから始まるてんやわんやの大騒ぎ。
間抜けなギャングが出てきては何かっつうとマシンガンを撃って、
最後は楽団がブンチャカやって大団円って辺りは最近のどの作品を見ても一緒。
全く持っていつも通り。なのに焼き直し感ゼロなのがいつも不思議。必然性がある。
幼い子供が見知らぬ世界への渇望を抱いていて、
いつも同じことを夢見ているというのに近いのかもしれない。
そこで出会うものがクストリッツァの場合マシンガンと楽団ってことなのだろう。
僕はこの世で一番好きな監督がクストリッツァなので、新作だというだけで満足した。
僕の隣に座っていた人も恐らくそうで、満足げにクスクス笑っていた。
でも、これは冷静に考えるならば天才の凡作だなあ。
クストリッツァを初めて見る人にはお勧めできない。
カラフルで賑やかでドタバタしているけど、だから何?っていう。
「アンダーグラウンド」「ライフ・イズ・ミラクル」で感動した人向けのボーナス・トラックってとこか。
ハッピーエンドを謳っているだけあって、その通りに終わる。
でも、ハッピーなのは当事者とその周りの人たちだけ。
セルビアという地域はマフィアが幅を利かせていて、周辺諸国といつ紛争が起きてもおかしくはない。
そういう現実が当たり前のように描かれていた。
クストリッツァ監督は作品を追うごとに、
セルビアに対する思いがストレートに語られるようになっていってるように思う。
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引き続き、「スラムドッグ$ミリオネア」
シネセゾンに見に行ったら13時の回が満席。大ヒットしてるみたいね。
新宿に移動して、歌舞伎町のMILANOで見る。
1時間近く前に入って、ロビーでプログラムを見ながら暇をつぶす。
ここは指定席ではなく、自由席。
列の先頭近くに並んだので割りといい席で見ることができた。
並んでいる間にふと振り返ってみるとロビーが埋まるぐらいの大混雑。
見終わって劇場を出たら、行列が外にまで伸びていた。
ここまで混んでる劇場で見たの「少林サッカー」以来かも。
奇しくもこのときもまた、歌舞伎町ミラノ。
作品賞、監督賞を初めとして、アカデミー賞8部門受賞。
見てすぐ分かった。確かにこりゃ取るわ。
風格が違う。生まれながらにして
王者足ることを、勇者足ることを運命付けられた者の持つ気品、というか。
勢いと瑞々しさ、スマートにしてスタイリッシュ。
優れた娯楽映画の持つべきものが全て無理なく揃っていた。
しかも、無駄が一切ない。ものすごくスリムで贅肉なし。
なぜ今更ダニー・ボイルにこれが撮れた?
奇跡としか言いようがない。
恋愛映画として見ても、ギャングモノや少年少女モノとして見ても、筋書きはベタ中のベタ。
このご時勢にありえないぐらい、ひねりがなくてストレート。
しかも最後まさかのハッピーエンド。
一歩間違えばとんでもない駄作になったはず。
それがなぜか、何の迷いもなく、抜けるような青空の下をトップ快走のままゴールインみたいな。
最初は小さな一滴だったストーリーが見る見るうちに奔流となって、駆け抜けていく。
清々しかった。
いや、ほんと手に汗握った。
クイズに正解する度に興奮した。
家で大画面のテレビで見ていたら、立ち上がって拍手していたと思う。
で、隣に誰か一緒に見ていたら最後、
抱き合って「よかったよかった」って言いながら肩を叩いたと思う。
何も言うことがない。満点。
娯楽映画の新しいスタンダード。
これがつまらないという人はハスに構えすぎですよ。