夜の散歩

25守も第4クォーターの後半へ。実質的に残り3週間ちょっと。
さすがに心身ともに疲弊が。昨年の今頃と同じ状態。離を終えて抜け殻。
とはいえ師範代というのは不思議な生き物で、
どんだけしんどいなあと感じていても
回答が届くとその瞬間にスイッチが入って指南を返す。
…終わるとまたオフに戻る。
ここ数日は先週末の移設作業の疲れもあって
そのオフの時間に何もする気になれない。
溜まっている新聞を読むとか、Facebookにコメントを入れるとか、
Banana Fish』の3巻を読むとか。その程度のことですら、億劫になる。
本を読む、活字を読むというのすらつらい。人としてやばい。


だったらさっさと寝てればいいんだろうけど、
夜になると回答が届くもんだし出題もあるし。
少なくとも日付が変わるまでは待たなくてはならない。
昨日の夜はひとつ指南を終えると、着替えて散歩に出た。
どこに行くというあてもなくブラブラと歩く。
iPhoneで音楽を聴きながらぼんやりと取り留めの無いことを考える。
言葉にすらならない、感覚の残骸のようなもの。


四面道に出て青梅街道を駅の方に向かって歩いていく。
22時半。駅を出て家路に着く多くの人たちとすれ違う。
一人きり無言で歩く人たちの群れ。
そんな人の流れに逆らって歩く。


駅に着いてさらにまだ歩く。
例えば隣の駅に恋人が住んでいて、
夜、会いに行くのだとしたらどんなにいいだろう。
そんなことを考えた。
電車に乗るでもなく、自転車に乗るでもなく。
一駅の距離を歩いて会いに行く。
恋人が部屋で待っている。


僕はその恋人の顔を思い浮かべることはできず、
ただそのこじんまりとした部屋を想像するだけ。
テレビがあって、ベッドがあって、本棚があって。
小さな台所と部屋の中の小さなテーブルと。


なんとはなしに帰ってくると、回答が届いて指南を返す。
日付が変わって出題して、眠りにつく。
昨日は寒かったから布団に包まって、恋人の部屋のことを思う。
そこには誰もいないまま。片付いていて、机の上にも何も無い。
静止した部屋の空気を感じる。その匂いを。
そのうちに眠ってしまっている。


目覚まし時計が鳴る。起き上がる。
疲れきって夢を見ることはなく。
着替えて会社へと向かう。


そして今晩もまた僕は夜の散歩に出るのだろう。