Damo Suzuki Never Ending Tour


昨日というか実質的には今日なんだけど、
真夜中、新宿でダモ鈴木の日本ツアー初日を観てきた。
『Damo Suzuki Never Ending Tour』
2003年からずっと続いてて、その2011年版。
場所は西新宿の CLUB DOCTOR なるライブハウス。


編集学校でお世話になった師範の方がいけばなで競演ということで知ったんだけど、
やっぱダモ鈴木はナマで一度見てみたかった。
CANですよ、CAN !! しかも1970年代初めの全盛期、
『Tago Mago』〜『Future Days』エラ。
日本からアメリカを経てドイツにまで流れ着いてきた「歌えない」ヒッピーが
ヴォーカルとして雇われて、日本語訛りの英語で奇声を発して囁いたり叫んだり。
CANはこの世ならぬ破れかぶれな異物としての音楽を完成させ、
それに見合うだけの音の桃源郷を現出させる。その絶頂期に突然の失踪。
ドイツ人と結婚してエホバの証人に入信したとか会社員になったとか噂が流れ、
完全に表舞台から姿を消したと思われた頃、1980年代半ばに復活。
CANのドラマーだったヤキ・リーベツァイトのバンドで活動再開したのち、
1990年代以後はダモ鈴木ネットワークを率いるようになる。
今は世界各地を回りながらその国での
凄腕ミュージシャンと即興演奏のステージを繰り広げているという。
チラシを見たら、『Damo Suzuki Never Ending Tour』は
40カ国で4,000人のミュージシャンと競演。
まさに、リヴィング・レジェンド。


ライブハウスに入って師範の方と会い、ビールを飲んでいると
「ほら、そこに座っているのがダモ鈴木だよ」と。
すぐ目の前のソファーに座って、奥さんと思われるドイツ?の女性と話していた。
話しかけてみたいけど恐れ多くて話しかけられない。
そうこうしているうちにソファーから立ち上がって消えていった。


午前0時になって、まずはフィルムの上映からスタート。
『A Day with Damo Suzuki』
3年前、2008年に来日したときのライブの模様を写したドキュメンタリー。
インタビューも挟まるんだけど、圧巻は後半の演奏。
即興で30分近く続いた曲を完全収録。
編成はギターとベースとドラムの3ピースにダモ鈴木
三者三様に凄腕で音のカオスを生み出す。強烈な磁場。濁流になり、奔流になり。
その真ん中にダモ鈴木が立って日本語でも英語でもない不思議な言葉で歌う。
CANのように呪文のようなフレーズを繰り返す。
今はそれがかなりガレージ・ブルース化している。
安易で派手なだけの古典芸能再現系のプログレでは決してなく、
完全に今、現在のヘヴィなトリップ・ミュージック。
これはすごかった。なぜこのときの音源を世に出さないのか? と思う。


午前1時過ぎ。ライブ開始。2部構成になっていて、
1部:ベース、ドラム、エレクトロニクス、テルミン、フルート、いけばな。
2部:ベース、ドラム、パーカッション、ギター、書道。


2部のギターの方は Audio Active らしくて、
パーカッションの方は渋さ知らズの関根真理。
しばらく僕の横で1部の演奏を見ていた。
思い切って話しかければよかったな…


編成からわかるように、1部はコズミックで2部はエスニックなヘヴィ・ロック。
例えて言うなれば、
Captain Beefheart meets Sun Ra (1st set) / The Mars Volta (2nd Set)
いや、ほんと、Captain Beefheart が今も生きて音楽を続けていたら
(完全に先祖返りなデルタ・ブルースか)こういう音を求めただろう。


ナマで見れてよかった。
物販で売ってたCDも買えばよかった。


終わって3時過ぎ。荻窪まで1時間半、歩いて帰ってくる。
歩いているうちに夜が明ける。
Twitterを見ると、福島で震度5強地震があったことを知る。
東京は揺れたのだろうか。歩いていて気がつかなかった。