熊本へ その4(9/28)

ぐるっと海岸線を回りきって東へ。
天草をダイジェスト、ということで崎津天守堂を目指す。
地図を見ていると大江天主堂、天草コレジヨ館、天草ロザリオ館、天草キリシタン
などとたくさんのキリシタン由来の建物がある。世界遺産の登録を目指しているとのこと。
崎津はこれまでにもいくつか訪れてきた鄙びた漁師町。
家も小さく路地の間隔が狭く、痩せた猫をあちこちで見かける。
お手製のミュージアムがあったり、家の前の猫の額ほどの空き地を1日単位で貸し出していたり。
こじんまりとした少し不思議な観光地。
教会の中へ。白い壁に囲まれた礼拝堂があってキリストやマリアの肖像画が飾られている。
パッと見はメキシコやスペインで見学した教会と何も変わらない。
なのに会衆席が畳敷きにパイプ椅子。こういう和洋折衷もあるのか。
庭の池も錦鯉が泳いでいる側にキリスト像に祈りを捧げるマリア象。
がっしりした体つきの元気なお年寄りの方が聖水入れと共に入ってくる。
隠れキリシタンだった時代から何代も何百年もキリスト教信者であり続けて、
今はようやく普通に信仰の生活を送ることができるようになったか。
敷地内で見かけた何人かの40代・50代人たちは黒地にカラフルな絵が描かれたTシャツを着ていて、
一見メタル系バンドのツアーTシャツのようでいてキリストを描いたものだった。
キリスト教が弾圧されていた頃、これらの教会はどのようにして保存されてきたのか。
建物として新しいので最近になって建て直したのだろうか?
天草の家の多くで夏だというのに玄関に注連縄をしていた。
これは「うちはキリシタンではありません」という意思表示とのこと。


教会の裏に港というか船着場がある。
古びた産直の店で塩を売っている。
日曜だからか50代ぐらいの男性たちが3人ブラブラと店の前に座って
鮮やかな青い塩をビニール袋に詰めていて、買っていかないかと声をかける。
天然だと言うけれどここまできれいな色は食紅か何かだろう。
狭い路地を歩いていると「南風屋」(はいや)という名前の古い民家が。
中に座っていたおばあちゃんたちが中に入ってお茶を飲んでいけと賑やかに。
手作りの「杉ようかん」を売る店なんだけど、今日は完売。
壁という壁がテレビの取材のレポートや芸能人の色紙や
全国からのお礼の手紙で埋め尽くされている。
へえーと思ったところでは脚本家の倉本聰のがあった。あと、世界のサンタたち。
昨日天草空港で見たポスターや資料館でもらったパンフレットには
世界のサンタたちが集まるサミットが天草で開催されたとあった。
(サンタの一人がくまモンと写っている)
そんな中、よく喋るおばあちゃんふたりが次のテレビ放送の話をしたり、パンを薦めたり。
このあたりで昼を食べるにはどこがいいですか、と聞いたら
この辺はどこもたいしたことない、牛深がいいと。
それもそうかと車に戻って牛深へ。


島の真ん中を国道が貫く。
入り江が入り組んでいて山の中を走ったかと思うと海辺が出てきて、
田んぼが広がったかと思うとまた堤防と共に海辺が。
埋め立てたのか一直線に島が伸びて草で覆われ、その上に電線が伸びている。
のんびりとした風景。
内海に近い環境のため波は穏やか。琵琶湖を思い出す。
海上コテージがあった。
ああいうのって高いのかなと調べてみたらそうでもなかった。
いつか泊まってみたい。


そのうちにまた郊外のロードサイドの店が現れて、牛深市街地へ。
「彩海館」という産直ショップの近くにあった
「紅蘭」という中華料理の店に入る。
「天草 Sea x Oh! 南蛮ちゃんぽん」というイベントに参加していて、
そのチャンポンを食べてみる。
7つのこだわりがあるという。
1.スープは透明なものとする。
2.天草の塩を使用する。
3.天草のこだわり食材(車エビ、たこ、天草ブランド産豚)の
  どれかがメイン食材として入る。
4.オリーブオイルで炒める。
5.すり身を入れる(魚とは限らない)。
6.オリジナルの後付ソースを別皿で提供する。
7.天草陶器の器を使用する。
チャンポンが運ばれてくる。
わかめ、つみれ、甘い味付けのチャーシュー、
タイピーエンのような揚げ玉子が入っている。
ほのかな塩味の中に深みがあって
昨日のみよし食堂の優しい甘さとはまた別のおいしさ。


「うしぶか海彩館」に入る。牛深ハイヤ大橋の袂にあって眺めがいい。
http://www.usibuka.jp/kaisai/index.html
1階は大きな円形の生簀。あかかます、まあじ、まだいなど。
伊勢えびがウジャウジャと網に張り付いていた生簀もあった。、
今日生簀に入っている魚介類が出勤、欠勤と「出勤表」という形で表示されている。
2階には漁に使われていた舟が十艘以上あっただろうか、いっぱいに並んでいた。
1階のお土産屋のひとつが牛深のかまぼこ屋4軒の商品を扱っているところで、
それぞれの店の写真入で紹介をしている。夫婦や親子など、どこも家族でやっている。
そのうち2軒の詰め合わせを買って青森に送る。
チーズの入った揚げ物を食べてみる。
隣接した港には海上保安庁の巡視船が停泊している。密漁を取り締まるのか。
近隣と往復するフェリーは近年廃止されたという。
広い駐車場にはバイカーたちがごついバイクを停めていた。
その中にはいかつい夫婦とその娘がブルンブルンとマフラーを震わせていた。


僕らも車に乗って、茂串の海水浴場へ。
数年前の宮本武蔵大河ドラマで巌流島の撮影に使われたという。
撮影スポットを紹介する案内板が置かれていた。
砂浜への入口には門のように石柱が立っていて、
それぞれに宮本武蔵佐々木小次郎の小さな像が乗っていた。
下りていくと真っ黒い石畳の磯辺が広がってその間に海水がたまっている。
海水浴場はそこから歩いて10分ほど歩くようだ。
水面がキラキラと輝いている。
この日の最高気温は30℃で泳ごうとしたらまだまだ泳げるだろう。
子供連れの家族が何組か来ていたが磯で遊ぶだけ、誰も泳いでいなかった。
シャワー室には40代後半ぐらいの男性がひとり体を洗っていて
サーファーのように真っ黒に日焼けしている。
バイクに茶色のプードルを乗せて全く同じ色になっていた。
その体を洗ってあげていたから、犬と一緒に海に入ったのか。


14時を過ぎて、帰り道につく。
牛深市街から離れ少し山の中を進んで
途中「牛深温泉センター やすらぎの湯」に寄っていく。
昨日の「ユメール」同様、水質は透明で匂いもない。入りやすい温泉。
青空の下、露天風呂に入る。


15時を過ぎて車に乗って熊本市に戻る。
旅に疲れが温泉で癒されて眠くてしょうがない。
後半は気が付いたらずっと寝ていた。
熊本市に近づいて、ようやく目が覚める。
カーナビでNHK大相撲中継
白鳳が勝って優勝。千代の富士に並ぶ。話題の逸ノ城は優勝ならず。
土井たか子社会党党首、元衆議院議長20日に亡くなっていたことを知る。
家に入る前に夕食を、と熊本市内で人気の「彩炉」という焼肉屋に入る。
カルビ、ロース、ハラミなどの合間に馬刺しを食べる。
津軽リンゴサワーがあった。


帰ってきてニュースを見る。
アジア大会福島千里が100mで銀、サッカー日本は韓国に負ける。
吉田沙保里が4大会連続の金。
しばらく起きているつもりが、眠さに負けて23時過ぎに眠る。