退院 4日目

6時起き。
寺山修司3冊セットのうち、『ひとりぼっちのあなたに』を読み終えて『さよならの城』へ。
ゴミを出しに行く。朝のうちは曇っていたが、午後から日が出る。
朝食代わりに昨晩届いた巨峰を頂く。


狩野亨吉『安藤昌益』を読む。
だいぶ前に買ってそれっきりになっていたのをようやく。
明治の人。漱石の招きで熊本の第五高等学校の教師となる。
41歳と若くして京大学長となるが、2年後に辞めて鑑定家へ。
昭和天皇の教育係に推薦されるも固辞。
博学で知られるが、生涯一冊の本も残さず。
『自然真営道』で知られる農本学者:安藤昌益の思想を紹介したことで知られる。
(偶然手に入れた数少ない著作は後に関東大震災で焼失した)
その安藤昌益に関しての論考と、公演の速記など三篇を収録する。
読んでると狩野亨吉も安藤昌益も頭はものすごく切れるけど曲者なんだなというのがよくわかる。
宇宙そのものが歴史である、とか。


今日もストーンズの「From the Vault」シリーズのDVDを。
『The Marquee Club Live in 1971』と『The Brussels Affair 1973』のセット。
前者は『Sticky Fingers』発売直前で、後者は『山羊の頭のスープ』の後(ライヴCDのみ)。
『メインストリートのならず者』を挟んで、ミック・テイラー在籍時の
ライヴバンドとしてのストーンズが一番いい頃ですね。
どちらも甲乙つけがたい。
僕がこれまで聞いてきたストーンズのライヴアルバムでは
これと『Love You Live』がトップ3かな。
特に1971年のは1962年のデビューライヴを飾った思い入れのある場所であって。
小さい箱で熱っぽく、ねちっこい。危うくてルーズ。
熟れて腐る寸前の果実のような魅力がある。
1973年はミック・テイラーがストーンズのステージに立った最後の頃。
これもまたルーズなのにみっちりタイトな、ストーンズらしいグルーヴに満ちている。


昼、カレーの最後を食べつつ、
Nirvana / Foo Fightersデイヴ・グロールが監督した
『Sound City - Real To Reel』を観る。
「Sound City」とはロスの有名なスタジオ。
Fleetwood Mac『噂』や ニール・ヤング 『After the Goldrush』といった名盤がレコーディングされ、
リック・スプリングフィールドを見出して大ヒットさせた。
80年代に一時代を築くが、アナログにこだわり続けるというスタンスが
90年代に入ってから時代の流れに合わなくなり、あわや倒産寸前に。
それを救ったのが NirvanaNevermind』の特大ヒットであったという。
しかし、Protools で誰でも安く音源が作れる時代となって結局00年代後半に閉鎖。
多大な恩を感じていたデイヴ兄貴は世界に4台しかなかった特注のミキシングコンソールを譲り受け、
自身のスタジオに移し、「Sound City」で演奏したミュージシャンを集めて録音する。


前半はスタジオの歴史を辿ったドキュメンタリー、後半はスタジオセッションの模様。
その思い出を語るのはとんでもないメンツばかり。
ニール・ヤングトム・ペティスティーヴィー・ニックス、リック・ルービン、リック・ニールセン、
トレント・レズナー、フランク・ブラック、コリィ・テイラー、ジョシュ・オムなど。
デイヴ兄貴はあの笑顔に現れるようにアメリカンロック最大の良心なわけだけど、
これまで自分を育ててくれた音楽に対する感謝や憧れの気持ちが素直に表現されていてとても好感を持つ。
ロック映画の新しいマスターピース


夕方、駅前の LIVIN に夕食の材料を買いに行く。
妻から頼まれたヤクルトやトマトなど。
帰ってきて、保険会社から届いた書類に記載する。


レイチェル・ヤマガタの新作『Tightrope Walker』が期待通りなかなかよい。
これまでのアコースティックな音から変わって、
ドラム、パーカッションが一風変わった音色で強調されたロック寄りの音。
昨晩聞いたパット・メセニー『Unity Sessions』も聞かせる内容だった。


晩御飯の用意。
ネギ、乾燥わかめ、豆腐の味噌汁。
ピーマンと舞茸があったので天ぷら風にフライパンで焼いてみる。
小麦粉を溶いたボウルに入れて、油で焼く。
なかなかうまくいかず。小麦粉でふやけた感じ。
やっぱ直接天ぷら鍋で揚げたほうがさくっとしてうまい。
この日もまた妻が遅くなる。
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