今年上半期一番よかった作品はこちら。
Shellac『The End of Radio』
1994年の4曲と2004年の8曲。今年6月突然発売された。
リアルな音の触感を追求するエンジニア/プロデューサーとして有名な Steve Albini のバンド。
ものすごく注目を集めた後なのにコマーシャル性皆無なガチで、賛否両論となった。
愛想のかけらもない冷徹な音。
ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムという最小限の構成で
その間合いにどれだけのものを込めるか、現場の哲学を無言で語るか。
弦や太鼓のひとつひとつの音の「鳴り」がいいし、
それらの重なり合ったときの「響き」にズシリと腹の底に来るものがある。
しかもそれがごまかしの効かないスタジオライヴ一発録り。
普通こんなことできない。
しっかりしたアンプとスピーカーでレコードで聴いたら絶対人生変わると思う。
…と、新宿の DiskUnion に行ったら幻の『ライヴ・イン・東京』を発見。
ギリギリ手に届く額だったので即買い。こちらは1993年の録音、発表。
凶暴でささくれだっていてとにかくギターがヒリヒリしている。
研いだばかりの剃刀のよう。
静と動のコントラストもはっきりしている。
こちらの方が好き、という人の方が多いかもしれない。
間合いだけで聞かせてしまう『The End of Radio』の方が純度が高い。
聞き比べてみると『ライヴ・イン・東京』はチンピラが鉄パイプで殴り合う直前で、
『The End of Radio』は達人たちによる居合い抜きか。
この『The End of Radio』も店頭在庫のみか。
DiskUnion が入手しやすいかな。
もちろん、iTunes なんかでもダウンロードできるけど。
「John Peel Sessons」は名演ばかり、CD化されているものも多いけど
最近他にこれはすごいと思わされたのは
The Wedding Present の全演奏6枚組。
そんなにやってたのか、という。
ヴォーカル・ギターの David Gedge がとにかくDJ の John Peel のことが好きで
毎回番組を聞いて、聞けない時には代わりにテープに取ってたというんですね。
相思相愛ゆえの名演。
『Bizzaro』の頃もいいけど、次の『Seamonsters』が絶頂期なのかな。
不用意に触れたら怪我しそうなぐらいのボルテージの高さ。
思えばこの『Seamonsters』を手掛けたのも、Steve Albini だった。