大井町でキャッツ

妻が友人から『キャッツ』のチケットを譲り受けたので
大井町劇団四季のシアターに見に行ってきた。
『ライオンキング』や『マンマ・ミーア』は
今から十数年前、竹芝にオフィスがあった頃、会社の懇親会的イベントの一環で
近くにできたシアターに見に行ったことがあったけど、『キャッツ』はなかった。
当時東京で上演していなかったか、『キャッツ』は別格で取れなかったか。
高校時代の演劇部の先輩が札幌か東京にわざわざ見に行って、
やはりすごかったと語っていたという話をまたぎきした。
この国の演劇界の頂点というイメージがずっと僕の中であった。
 
1年にわたるロングランを成功させることで
日本で初めて公演だけで劇団員が食っていけるようになったとか、
そのロングランのために貸してくれる大きな劇場がなかったので
当時国鉄がたくさんもっていた広大な空き地を借りてシアターを建てたとか、
チケットぴあの販売システムを国内で初めて利用してチケットを売ったとか。
そんな数々の伝説もある。
プログラム冒頭の浅利慶太の言葉にもあったけど、
キャッツは日本の演劇を変えてしまった。
 
シアターの中に入る。
ゴミ捨て場ということで雑多なものが投げ捨てられているという設定。
楕円形の観客席が舞台を取り囲むが、
その上には猫から見たサイズで描かれたオブジェ/ガジェットの数々が。
これを見ているだけでも楽しい。休憩時間にはその舞台の上を見学することもできた。
FRISK」ならぬ「PRISK」と書かれた大きな白いプラスチックの箱。
「SANY」と書かれたビデオデッキ。観客席後方には巨人用のプレステのコントローラ。
遊び心いっぱいで舞台芸術家冥利に尽きるだろうな。
 
肝心の内容はというと…
24匹の猫皆が主人公でメインのキャラクターが不在、それぞれ一匹ずつ紹介していく。
というのが大半を占めるためストーリーらしいストーリーがなく、前半のほとんどを寝てしまった…
後半はちゃんと見てて、ようやくストーリーらしいものが芽生えてくる。
もしかしてこれは面白くなるんじゃないかと思い始めた頃に終わってしまった。
それでも力づくの演出で持って行ってしまう…
これは2回3回と見ないと面白さが分からないな。
配役の違いで楽しむとか。
これは30年前の初演や20年前という手探りで全国公演を広めていった試行錯誤の時期の方が
生命力があって見ごたえがあったのではないか。
浅利慶太亡き今、今ある姿は拡大再生産なのかもしれない。
同じ問題をモーリス・ベジャールピナ・バウシュ亡き後の舞踏団が抱えているわけで。
 
見終わって、妻が iPhone を機種変更したいと。
目の前にちょうどドコモショップが。
待ち時間によってはここで変えてもいいかと。
待ち時間確認しますと言われて待ってたら若いのが出てきて機種を決めて料金プランを決めたら
そこからさらに2時間待ち。
お年寄りだとか、おばさんとか、
よくわからないので説明してほしいという人たちが長いこと話し込んでいる。
ああ、これは終わらないな…
しかもドコモ側も説明事項の冊子を全部読んで同意しなければいけなくなったとかで。
16時過ぎにドコモショップに入ったはずが、終わったのが19時。
ぐったり疲れ切る。
これならヨドバシに行けばよかった…
 
気を取り直して、前から気になっていた横丁の洋食屋「ブルドック」へ。
メンチカツカレーとハンバーグ。
ハンバーグは3つ縦に積み重ねているという。
マスターが面白い人でマジックを披露したり、あれこれと蘊蓄を。
バカの3要素とは「大食い・大声・蓄膿症」
これから儲かる職業とは「宗教・教育・健康 つまり、値段のつかないもの」
「これを女性に言われたら一発で男がコロッと言われる言葉があって、
 私それを言われたんですよね。それが、三越いったときに、「ねえ下着買って」」
「親の買ったギターで上手くなるわけがない」などなど。
隣の席に座った若者たち相手にまるで漫談かのように。
ドコモショップでの怒りが消し飛ぶぐらい愉快な時間だった。