外の空気を吸いたくなると高層階からエレベーターで下りて、ビルの周りをぐるっと歩く。
双子のようにビルが並んでいて、一棟がオフィス、一棟がマンションとなっている。
その敷地の外周をなぞるだけでも結構な距離となる。
途中、裏通りに警官が立っていて、蛇腹の柵を手にしている。
普段は伸ばしていて、車が通りがかるとチェックして通す。
見ると向こうの路地にも警官が立っている。
靖国神社の方。そうか、皇居が近いからか。
先日のトランプ大統領のように
海外の要人が来日しているから警戒を強化しているのだろうか、と
初めて見かけたときはそう思ったが、
その後いつ行っても警官が立っている。
もう少し歩いた先にも立っていて、
自分の把握している限りでは3か所ぐらいにそういうポイントがあるか。
神保町で働いていたとき、街角に警官が立つのは終戦記念日だけだった。
皇居への距離で言えば神保町の方が近いが。
大手町や半蔵門でも見かけない。
飯田橋のこの辺り、なんらかの守の要所なのか。
あるいは、皇居以外の別の理由があるのか。
逆に怪しまれるので警官に聞くわけにもいかず。
なんだろうな、といつも思いながらその脇を通り過ぎる。
呼び止められたことはない。
通りがかった学生やサラリーマンも何事もなくそのまま歩いていく。
今日の昼、また歩いてみた。
警官が蛇腹の柵を持つ脇を通り抜ける。
警官が立つ向きから、どちらが内側でどちらが外側ということになっているのかがわかる。
なんらかのゾーンなりエリアの内側に入ったのだが、何がどう変わるわけでもない。
歩く範囲を広げて、法政大学と東京逓信病院の裏手に回ると
警官どころか警備車も3台か4台停められていた。
他のように警官が手動で動かす柵ではなく、暫定的であれ柵が設けられているところが一か所あった。
ああ、ここがなんらかの警備の中心なのだろう…
東京逓信病院は皇居に近いこともあり皇族が入院するから、ということなのか。
それぐらいしか思いつかない。
しかし物々しい雰囲気はさほどなく、二人並んだ警官が談笑していた。
裏通り歩き続けてゾーンの外に出て、またオフィスビルに戻ってきた。
東京で働いていればそういう場所もあるか。
仕事に戻って定時になるのを待つ。