静岡県の上空を通過するので、行きは富士山のほぼ真上を通った。
冠雪して白くなった峯が山頂の真ん丸な火口からスーッと四方に伸びている。
その周りに青いすそ野が広がる。
思わず見とれる。いいなあ、と思う。
富士山は微動だにせず、時間が止まったかのように感じる。
帰りの飛行機でも貴重からのアナウンスがあって、
左手に今、富士山が美しく見えますと。
周りを雲に囲まれ遠くに白く聳え立っていた。
この一人きりポツンとしているのが富士山のよいところなのだろう。
毅然として我関せずというような。
新幹線に乗っていても近くに差し掛かると富士山を探してしまう。
あれってなんだろうな。
日本一高い山だからか、日本を代表する山とされているからか、
とにかくそういうものだと思い込んでいるのか。
静岡や山梨だと富士山の裾野に住んでいてすぐ背後に富士山が、
という人も多くいるのだろう。
それってどういう気分なのだろう。
馴れてしまうとなんてことないのか。ああ、山ね、というような。
だけど小さい時からそこに住んで、大人になって離れて住むという時、
例えようのない寂しさとなるのだろう。
故郷の山。
そう、富士山は日本国民にとっての故郷の山なのだな。
どれだけ遠く離れていても。
そんなことを思う一方で、頭の中に流れるのは
電気グルーヴの「富士山」だったりする。
学生時代、ススキノの巨大なキャバクラに行ったとき、
そのパーティータイムのような時間に流れたのが「富士山」だった。
ピエール瀧はどうしているのか。
この一年を思い返して気になったことのトップはやはりピエール瀧。
令和、富士山、ピエール瀧。