夜の散歩をしないかね

 
開発を一部巻き取ったものの、忙しくなって平日は取り掛かれず。
この日、朝から出社して淡々と集中して取り組む。
妻は美容室に行ったあと、オフィスに立ち寄って少し仕事するという。
夫婦共働きの土曜。
 
夕方、作業の途中ではあったが切り上げて総武線に乗る。
編集学校の後輩と忘年会。2人とも中央線沿い。
中野の立ち食い寿司の店へ。駅前で待ち合わせる。
師走。大勢の人たちが通り過ぎていく。
幸福の科学の議員が香港のデモについて途切れることなく大声で張り上げる。
誰も聞いていないのにスピーカーの声だけが空しく響く。
もう一人がなかなか来なくて、待っている間に郵便局の人たちが出したワゴンで年賀状を買う。
この寒い中、制服を着て立っている。
妻の分とまとめて買うと郵便局は今年いろいろあったからか、おまけをたくさん暮れた。
タオル、PCやスマホのスクリーンを拭くクロス、小さな貯金箱。
 
寿司屋へ。後輩が大将と飲み友達だという。薦められるがままに頼む。
鯨の燻製(オリーヴオイルをつけた食べる)、
あん肝の有馬焼(アルマーニと呼ばれていた)、アオサの入った玉子焼き。
ナマコ酢のいいのがあるという。新鮮でキレがいい。
生まれて初めてナマコをおいしいと思って食べた。
刺身の盛り合わせでひれ酒。
握りは鯵、天草の小肌、すみいか、漬け中トロ、穴子など。
どれもただしゃりの上にただ切り身を乗せるのではなく、
タレが沁み込みやすいように包丁で細かく切れ目を入れている。
巻物は大将が似たというかんぴょうに、中トロといくらのが絶品だったな。
 
もう一軒行こうと高円寺に移動してクラフトビールの店。
ポートランドノルウェーに世界各地のを扱っている。
今、クラフトビールを飲むなら渋谷にたくさん店があるのだという。
カウンターの壁から20個ぐらい? 注ぎ口が突き出して
その上のタイルに銘柄を黒のマジックで手書きしている。
僕は薦められたのを1パイントで飲んで、その後天然ヨーグルトのサワー。
ブルーチーズの入ったポテトサラダ、揚げたてのポテトフライ、大ぶりの焼売と
つまみもおいしかった。
店員がハキハキしていてこちらもいい店だった。
話していたらこの4人は一回りの差もありつつ、子丑寅卯の順に揃ったと気づく。
次に開催するならば、辰か亥の人を誘おうということになった。
 
22時半過ぎ。高円寺の駅へ。
僕と妻は中野方面へ。後輩たちは荻窪方面へ。
市ヶ谷で人身事故だという。
僕らは5分遅れで来るという表示だったが、後輩たちの方は5分遅れが20分遅れとなり……
どうも再開の見通しは1時間後となるらしい。
申し訳ないと思いつつ各停が来たので僕らは乗って行った。
しかし次の駅の中野でしばらく止まることに。
隣りの東中野大江戸線に乗り換える。もう一駅進んでほしかった。
ただ待ってるのも何なので歩いていくことにする。
線路の脇を歩いて中野ZEROを過ぎ、静かな住宅街に入っていく。
アパートのドアに空いた窓が丸かったり、家のガレージから2階に上がるのが螺旋階段だったり。
一方で新しいモダンな家がこじんまりと路地に収まっていたり。
中央線の入り口らしい、ちょっとした個性がひとつにまとまっている住宅街だった。
 
駅に着く。地下鉄に乗って、練馬を過ぎて座れるようになると爆睡。
光が丘。23時を過ぎて駅ビルのエスカレーターも止まっている。
家の近くまで来て、ふと気づくとオリオン座。
空を見ながら歩いていると妻が「あ、流れ星」と。
この夜はふたご座流星群がピークなのだという。
住宅街に入って探し続けるが僕には見つけられず、
そのうちに家に着いた。
夜の散歩をして、帰った。