ステレオタイプA

昨日、久しぶりに車で箱根。
路線バスやホテル専用の送迎バスと何度かすれ違った。
ウネウネとした細い道の両側に温泉旅館や小さな民宿。
谷底に向って建て増し建て増しで大きくなったようなホテル。
 
その合間に小学校があった。
敷地は狭くて校庭も猫の額ほど。
それでも建物は3階建てか4階建てぐらいあっただろうか。
平日だったから幼稚園児と保母さんの群れが近くを歩いていた。
 
不謹慎ながら思う。
旅館の中居さんの子どもたちが通うのだろうか……
不謹慎ながらさらに想像する。
ある夜、お母さんに服を着せられ眠い中住んでいたところを後にして
お母さんは両手いっぱいに荷物を抱えて少年もリュックを背負わされ、
眠いよう、腹が減ったようと言ってもお母さんはシーッ、我慢しなさいと。
夜汽車に乗って遠く、遠くへ。
ようやくたどり着いた山奥の田舎町でお母さんは旅館の中居さんとして働く。
近くの社宅代わりのボロアパートに母一人、子一人でひっそりと住む。
まかないの残りをもらって夜ご飯に食べる。
 
そんな子供たちばかりの通う小学校。
そこでは両親のいる子供たちのグループが偉そうにしていて、
片親の子どもたちのグループを日々ばかにしている。
そんなところまで想像した。
……たぶんそんなことはないか。
自然に近いところで都会に比べればのんびり育つのか。
 
旅館の中居さんは皆わけあり、なわけがなく。
普通の人がほとんどだろう。
でも凶悪な事件の加害者や被害者の家族が一家離散して今……
なんて週刊誌の記事を読むと……、という。
この無口で翳りのある、疲れたような人はもしかしたら……
 
……僕はなんでそんなところにしか想像力が働かないのだろう。