大雪の日

昨晩妻が帰ってきたとき、真っ先にバルコニーに出て
サボテンの鉢植えを室内に仕舞っていた。
聞けば、明日雪が降るからだという。
 
今朝起きたときに天気予報のアプリを見てみた。
その時点では午後、一時間だけ雪のマークがついていた。
車で行くか迷っていた妻と
降るか降らないか、もしかしたら降るかもねという話をする。
妻は地下鉄で行くことにした。
 
いつもと比べてかなり寒い。
2階のリビングは冬でも日が出ていれば床暖だけ、
ストーブやエアコンをつけたりはしないのだが、
この日は手がかじかむぐらい寒い。
午後になって、ふと外を見たら雪が降っていた。
一時間二時間と経過して止む気配がない。
大粒の雪がしんしんと降り続けていた。
 
しまったな、と思う。
これなら午前中のうちにスーパーに買い物に行けばよかった。
当分止みそうにないなと15時過ぎ、出かけることにした。
静かだった。
音がないというよりも、雪混じりの空気という膜に包まれた静けさ。
 
住宅地の間の小さな公園に差し掛かると子供たちがはしゃいでいた。
見ると泥だらけの何かを盛んに転がしている。
最初何なのか分からなかった。
雪だるまか。薄く積もった雪を広くかき集めてつくるから
土や草が入り混じっているのだな。
東京の雪だるまというものを、練馬に住んで初めて目にした。
積雪量の多い青森で見る雪だるまは真っ白で当然だった。
 
妻は車で出社しなくてほんとよかったなと思った。
先日、妻は熊本の義父に相談していた。
今年買ったばかりの新車に対して冬タイヤを買うつもりだが、
これまでは家のガレージに置いといてシーズンが来たら
ディーラーに持って行って交換してもらっていた。
オートバックスで買うと使わない方のタイヤを預かってくれるサービスがある。
それを利用するべきか。
 
義父の回答はこうだった。
そもそも冬タイヤを買う必要はない。
仕事でどうしても車で移動しなければいけないのなら話は別だが、
通勤で使うだけで他の交通手段があるのなら雪の日は絶対乗らないこと。
自分がいくら気をつけて運転してスタッドレスタイヤをつけていようと、
他人の運転する車がスリップして事故に巻き込まれるかもしれない。
なるほど、その通りだなと思った。
妻は冬タイヤを買わないことにした。
 
僕は青森在住で何十年と雪道を走っている叔父の車がスリップしたときに
たまたま乗っていたことがある。
アイスバーンの上に雪が新雪が積もっていて傍目には分からない。
その上に乗り上げてしまうとタイヤが空回りして、いとも簡単に滑ってしまう。
 
18時過ぎに暗くなった外を見たら既に雪は止んでいた。
怖いのは明日の朝か。夜の間に氷点下に下がって道路が凍る。
明日の昼は温かいようだけど、どれぐらい雪が解けるだろう。
 
大雪は青森だろうと東京だろうと、突然来るんだよな。