嶽温泉のこと

ここ数日、岩木山の麓にある嶽温泉についての寂しいニュースを見聞きした。
 
1/10 「岩木山麓・嶽温泉、お湯が出ない 青森・弘前市 源泉設備トラブルか、旅館の大半が休業」
 
1/16 「湯温低下の嶽温泉(青森県弘前市)、復旧に着手 原因不明、終了見通せず」
 
1/17 「創業350年の老舗「山のホテル」破産準備 岩木山麓・嶽温泉郷青森県弘前市)、コロナや湯温低下で」
 
昨年末より湯量が減り、湯温も下がっている。
原因は不明で復旧のめどは立たず。
雪深い季節なのでそもそも除雪から始めないといけない。
源泉のひとつがやられたらしい、という話もある。
旅館のいくつかは休業し、廃業も視野に入ってきた。
老舗で最も大きい、舞茸の入ったマタギ飯で有名な
「山のホテル」も破産手続きを進めているとのこと。
「山のホテル」は家族で訪れ、義弟と初めて会った場所でもある。
何かできることはないか、と思う。
 
嶽温泉というと僕としては「小島旅館」
県外の人に青森の温泉でお勧めは、と聞かれると必ずここを挙げていた。
外見は何の変哲もない昭和の旅館。
風呂は閉め切った、薄暗い広い浴室が男女ひとつあるのみ。
しかしその素朴な佇まいがよい。
お湯はとろっとした乳白色で体の底から温まる。
湯船が、何とも年季の入ったヒバというのもいい。
部屋に戻っても静かな、落ち着いた時間が流れる。
ここの夕食は舞茸の入った釜めしであるが、マタギ飯とは呼ばない。
特別なことは何もない、ということの豊かさを感じることのできる旅館だった。
 
早く原因解明して復旧に至ってほしい。
廃業となる旅館がひとつでも減ってほしい。
またそのうち行けたら、と思ううちにこんなことになってしまった。
悲しい。
突然温泉が湧くということがあるならば
その逆もあり得るということも理屈ではわかっているけど。
なんかそんなふうに簡単に割り切れるものでもない。