ここ数日、岩木山の麓にある嶽温泉についての寂しいニュースを見聞きした。
昨年末より湯量が減り、湯温も下がっている。
原因は不明で復旧のめどは立たず。
雪深い季節なのでそもそも除雪から始めないといけない。
源泉のひとつがやられたらしい、という話もある。
旅館のいくつかは休業し、廃業も視野に入ってきた。
老舗で最も大きい、舞茸の入ったマタギ飯で有名な
「山のホテル」も破産手続きを進めているとのこと。
「山のホテル」は家族で訪れ、義弟と初めて会った場所でもある。
何かできることはないか、と思う。
嶽温泉というと僕としては「小島旅館」
県外の人に青森の温泉でお勧めは、と聞かれると必ずここを挙げていた。
外見は何の変哲もない昭和の旅館。
風呂は閉め切った、薄暗い広い浴室が男女ひとつあるのみ。
しかしその素朴な佇まいがよい。
お湯はとろっとした乳白色で体の底から温まる。
湯船が、何とも年季の入ったヒバというのもいい。
部屋に戻っても静かな、落ち着いた時間が流れる。
ここの夕食は舞茸の入った釜めしであるが、マタギ飯とは呼ばない。
特別なことは何もない、ということの豊かさを感じることのできる旅館だった。
早く原因解明して復旧に至ってほしい。
廃業となる旅館がひとつでも減ってほしい。
またそのうち行けたら、と思ううちにこんなことになってしまった。
悲しい。
突然温泉が湧くということがあるならば
その逆もあり得るということも理屈ではわかっているけど。
なんかそんなふうに簡単に割り切れるものでもない。