先週買ったCD #142:2023/07/03-2023/07/09

2023/07/03: tower.jp
Linkin Park 「Meteora20」  \4180
C-C-BC-C-B The Single Collection」 \3080
(V.A.) 「Dance Craze」 \4131
 
2023/07/03: www.hmvo.co.jp
edbl 「edbl at PizzaExpress Live in London」 \2871
 
2023/07/03: www.hmvo.co.jp
Cris Rea 「On The Beach Deluxe Edition」 \2732
 
2023/07/04: メルカリ
The Roosters 「Insane + In Nurnberg & C.M.C」 \4350
The Bible 「Eureke」 \1500
 
2023/07/04: diskunion.net
Demi Semi Quaver 「Demi Semi Quaver」 \380
High Rise 「Psychedelic Speed Freaks」 \8650
The Stranglers 「Live at the hammersmith Odeon '81」 \1700
 
2023/07/06: diskunion.net
Dan Hicks 「Where's The Money」 \780
Dan Hicks 「It Happened One Bite」 \680
(V.A.) 「Sweet Dreams for Fishmans」 \680
(V.A.) 「Carnation Tribute Album『なんできみはぼくよりぼくのことくわしいの?』」 \1100
 
2023/07/08: DiskUnion 神保町店
Roger Nichols and Paul Williams 「We've Only Just Begun」 \2150
Orchestra Luna 「Orchestra Luna」 \780
(V.A.) 「Afternoon Delight Love Songs from Sub Pop」 \380
Raul Farcia 「Guitarra Peruana」 \900
 
2023/07/08: DiskUnion 神保町店
Irakere 「Chekere Son」 \680
Ruben Gonzalez 「Indestructible」 \880
Les Masque 「Brasilian Sound」 \1100
Deodato 「Prelude」 \780
Os Novos Baianos 「Acabou Chorare」 \980
野宮真貴×Fernanda Takai 「Maki-Takai No Jetlag」 \680
(Soundtracks) 「Bombay & Indira」 \380
(V.A) 「第30回浅草サンバカーニバル テーマソング・セレクション」 \380
 
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The Bible 「Eureka」
 
先日北海道に出かけた際に、
映画にもなった『アバウト・ア・ボーイ』や『ハイ・フィデリティ』で知られる
ニック・ホーンビィの『ソングブック』という文庫本を読んでいた。
どちらも原作は未読だし、映画も見ていない。
でもロックへの愛情が強すぎるがヘタレという、愛すべきダメ男の話だったよなあ、たぶん、
ということで勝手にシンパシーを抱いている。
どこから読もうかと思っていたら、たまたま中古で安く手に入れ、
音楽エッセイだというのでまずはここから入ってみようと思った。
 
ソングブック。
そもそも歌が好きなのだという。
どんな音楽が好きかと聞かれたら、アーティストの名前ではなく歌のタイトルで答えたい。
歌が入っていないジャズやクラシックは聞かない。
そんなことが冒頭で書かれていた。
人生のふとした瞬間に紐づくことで忘れられなくなった歌もあれば
自分なりのロック批評として取り上げられる歌もある。
エッセイと批評と思い出話がどっちつかずのようで、
最初のうちは正直面白くないかなと思っていたが、
これが恐らくその人の味なのだろうとわかってからはその文体にはまっていった。
 
イギリスの人なので、自然と選曲はイギリス寄りとなる。
中心や根っこにイギリスがあって、アメリカなど世界に広がるという感じ。
Teenage Fanclub ”Your Love Is The Place Where I Come From”
から始まるというのがまさにそう。なんとも同時代のイギリスっぽい。
(この本自体は2003年に出たものですが)
 
そして Bruce Springsteen ”Thunde Rroad” へ。
人生で何回聞いたかわからないという。
3曲目は Nerry Furtado ”I’mLike A Bird”
ポップ・ミュージックについて、空っぽだけど夢中になるポップミュージックについて。
以後、Led Zeppelin / Rufus Wainwright / Santana / Rod Stewart / Bob Dylan /
The Beatles / Any DiFranco / Aimee Mann / Paul Westerberg / Suicide ......
などと続く。
取り上げられたアーティストはほぼ知っていたし、その多くは聞いたことがあった。
アルバムを聞きこんでなくて知らなかったが、iPhone には入っていたという曲もいくつかあった。
(日曜の昼前に狸小路ブックオフへ。そこで目に留まった
 Van Morrison 「"...It'S Too Late To Stop Now..." Volume1」 を買ったんだけど、
 その後、続きを読んでいたらまさにこのアルバムの「Caravan」が本文中で取り上げられていた)
 
知らなかったアーティスト、曲は3つだけ。
The Bible ”Glorybound”
Butch Hancock and Marce LaCouture ”So I'll Run”
Mark Mulcahy ”Hey Self-Defeater”
当然、聞いてみたくなる。
しかし、The Bible の1作目は amazon で7,000円以上。
Butch Hancock の該当の曲の入ったアルバムは在庫なし。
Mark Mulcahy も5,000円越え。
そうだよなあ。CDを出すもたくさん売れるとは思ってなくて少数のまま。
それがやはり大ヒットすることもなく、ひっそりと消えていく。
しかし評価する人は少なからずいて、
後世の興味を持った人たちが残された少ないパイを奪い合う。
20年もしてから価格が吊り上がる。
 
さらに探していたら The Bible の2作目「Eureka」(1988)が
メルカリで1,500円で出ていた。これは買いだ。
札幌市電の中でこっそりオーダーした。
 
友達の働いているレコード屋で、ヴォーカル・ギターのメンバーが働いていたのだという。
『<グローリーバウンド>はミドルテンポの美しいシャッフルだ』から始まって、バンドの魅力を語る。
しかし、裏を返せば、共通の友人がいなかったら
ニック・ホーンビィがこのバンドを聞いた可能性はかなり低くなっていただろう。
続けてこのように語る。引用すると、
『バイブルのようなバンドは無数に存在する。
 才能があり、耳の肥えた熱心なファンがついていて、いいアルバムも数枚出しているのだが、
 レコード・レーベルに問題があったり、マネージャーだかヘアスタイルだかズボンに問題があったり、
 もしくは単純にツイていなかったりするバンド。』
 
僕もたまには《普通》のバンドというものを聞きたくなる。
世の中には、この世界には、無数のバンドやアーティストが存在する。
しかしそのすべてを聞くのは不可能。
お金がいくらあっても足りないし、それ以上に時間が足りない。
自然と誰かが薦める名盤へと吸い寄せられていく。
時々それでいいのか、と思う。
もっと自分の足で探すべきなんじゃないか。
見知らぬライヴハウスに飛び込んでみるべきなんじゃないか。
もやもやしつつも、今日も店頭や WEBメディアや amazon のレコメンドする音楽を聞いてしまう。
 
僕もいろんなガイドブックを持っているけど、UK ニューウェーヴだけで何冊も持っているが、
The Bible という名前に記憶がないのだから
日本で出すガイドブックで取り上げられないか、あっても小さな扱いで見逃したか。
そんなところにお宝が潜んでいるんじゃないか。
そんなワクワクを期待したが……
取り寄せた音を聞いて、ああ、普通は普通なんだなという当たり前の結論に達した。
 
The Blue Nile に近いように思うが、彼らほど雰囲気を作りこんでいないし、曲を磨き上げていない。
ネットで検索したら『Steely Dan チルドレン』と称しているブログがあったけど、
同じそれだったら China Crisis の方がよほどその名前にふさわしい。
(実際彼らはウォルター・ベッカーにプロデュースも依頼してるし)
Prefab Sprout に匹敵すると書いている人もいて、僕個人としてはそれは言い過ぎだと思う。
 
なんか物足りない。
でもそれって僕自身の向き不向きなんだろうな。
The Chameleons や The Sound といった世間一般的には無名に近い
UK ニューウェーヴのバンドを偏愛する裏返しで。
 
悪くはないんですよね。
若々しさと大人の間の躍動感があって、音のひとつひとつに手作り感がある。
ドラムのたたきっぷりが明確で、ギターやシンセの入り方も変な自己主張がない。
キラキラしつつもどこかイギリスっぽい陰りがある。
驚いたのが、クレジットを見ていたらプロデューサーがスティーヴ・アール(Steve Earle)で。
一見首を傾げる組み合わせ。この音のどこに貢献したのだろう?
もしかして同姓同名の人がいるのか。
本人だとして、だからこそうまく合わなかったのかもしれない。
プラスとマイナスが引っ張り合ってゼロで落ち合ったかのような。
 
なんか残念だなー。
この The Bible に対してとか、自分にとか、ニック・ホーンビィに、というわけではなく。
なんかもやもやと。
とりあえず1作目も何とか手に入れてみよう。
 
この『ソングブック』を読んで、
Teenage FanclubBadly Drawn Boy は聞き直してみようと思った。
Badly Drawn Boy はこの本にも取り上げられているし、
アバウト・ア・ボーイ』のサントラも手掛けている。