夏の雲

夏の楽しみの一つが、雲を眺めること。
ゴツゴツした岩の塊のような。
噴き出したマグマが空中で固まったかのような。
その横を絹のようなふんわりしたのが流れて行ったりする。
奇想天外な形が多く、
海上のどこかで温かい空気と冷たい空気、乾いた空気と湿った空気が
相当高速で入り乱れてるんだろうなと思う。
 
モクモクと立派にそそり立つ入道雲を見るのは嬉しい。
9月に入って、ああ、これが今年最後の入道雲なんだろうなと気づくのは寂しい。
昨日スーパーに行った帰りに歩いていたらトンボを見かけて、
ああ、もうすぐ秋なんだなと。
 
昨日の昼は急な雨が降って、その止んだ後に青空。暑くなった。
ふと振り向いた背後、遠く向こうの空に縦に伸びた黒い雲が。
雷が聞こえた。
すれ違った女子中学生二人組が、「見た? 今光ったよね」と。
とてつもなく狭い範囲で土砂降りになってるんじゃないか。
慌てて洗濯物を取り込んでいるんじゃないか。
そんなことを想像する。
 
今日の午後も一時的に雨が降ることになっている。
乾いた洗濯物をその前に取り込む。
その時にまた空を、雲を、眺める。
最後の雲になるにはまだ早い。