先週買ったCD #164:2023/12/04-2023/12/10

2023/12/04: www.amazon.co.jp
(V.A.) 「Bite Hard: The Music De Wolfe Studio Sampler 1972-80」 \3000
 
2023/12/06: www.hmv.co.jp
The Doobie Brothers 「Toulouse Street」 \2760
(V.A.) 「Come Together -Adventures On The Indie Dancefloor 1989-1992」 \6050
Juliana Hatfield 「Juliana Hatfield Sings Elo」 \2014
Prince & The New Power Generation 「Diamonds & Pearls Deluxe Edition」 \3382
 
2023/12/07: メルカリ
The Band Apart 「K. And His Bike」 \480
 
2023/12/07: diskunion.net
Freddie Notes & The Rudies 「Montego Bay」 \880
Big Youth 「Hit The Road Jack」 \1100
 
2023/12/10: www.amazon.co.jp
Sun Ra 「College Tour Vol.1 The Complete Nothing Is...」 \3507
David S. Ware Quartet 「Wisdom of Uncertainty」 \1000
 
2023/12/10: diskunion.net
Andrew Weatherall 「nine o'clock drop」 \380
 
---
Prince & The New Power Generation 「Diamonds & Pearls Deluxe Edition」
 
僕がプリンスで最初に聞いた、リアルタイムに接したアルバムが
1991年の「Diamonds & Pearls」だった。
シングルになった ”Gett Off” や ”Cream” をラジオで聞くと今も胸が躍る。
妖しいのにポップで実験的。
世の中にはこんな音楽があるのか!
それまでロックばかり聞いてきた少年の心を鷲掴みにした。
とにかく聞いた。聞きまくった。
だから今でも、一番好きなプリンスのアルバムを聞かれたら「Diamonds & Pearls」と答える。
 
プリンスの名前は知っていた。
シンプルで、小学校高学年にもなればその意味が分かる。
テレビや雑誌にて、全米で話題のミュージシャンとして取り上げられていた。
1980年代半ばの少年ジャンプに連載されていた『シェイプアップ乱』で
時々作者、徳弘正也が気に入っているミュージシャンの言及があったけど、
そこにもしっかり登場していた。
かなりのキワモノとして。
 
そう、子供がうっかり手を出してはいけない、かなり危険な雰囲気があった。
セクシャルな存在としてというよりも、コントロールされ尽くしたカオスとして。
一度聞いたら開けてはいけない扉を開けてしまうような。
最初に意識した時のアルバムが1988年の「Lovesexy」で、
CDが全曲通して1曲になってるとかプリンスが裸でジャケットに写ってるとか。
少なくとも中学生には無理だった。
ソウルやファンクという物自体、というか黒人の音楽というだけで相当敷居が高かった。
高校生になってようやく、恐る恐る手を出した。
(間の「Batman」(1989)はティム・バートン監督が好きだったので青森市の映画館に見に行った。
 だから確実にそのとき、プリンス初体験だったはずなんだけど映画そのものに心が持ってかれていた)
 
大学に入って映画サークルの先輩がプリンス好きでいろいろ貸してもらった。
そのうちの1枚が当時幻だった「Black Album」(1994 / 当初は1987発売予定だった)
ダークなファンクでプリンス自身がお蔵入りを決める。
先輩は国分寺の『珍屋』で全部真っ黒なCDを見つけて、も、もしやと思って買ったと。
果たして1994年の正規盤だったのか、その前にごく一部流通した超レア盤だったのか、
はたまた数多く出回ったという海賊盤なのか。
稀代の名曲”When 2 R In Love” が収録されている。
(「Lovesexy」にも収録されているけど、他の曲から切り離して聞くことができない)
ストイックなまでにハードなファンクは
今の耳からするとむしろ他の作品よりも聞きやすいのかもしれない。
ポップで明るい「Lovesexy」の方が異質なんじゃないか。
 
そんなわけで僕個人としては
「Black Album」から「Lovesexy」を挟んで「Diamonds And Pearls」まで、
1980年代後半から1990年代初めまでが彼の全盛期かなと思う。
多くの人はその手前の「Parade」(1986)と「Sign Of The Times」(1987)なんだろうけど。
 
一方で、「Diamonds And Pearls」の次の「Love Symbol」(1992)はあんまり聞かない。
摩訶不思議なシンボルマークを使いだしたり、
当時所属していたレコード会社のワーナーと揉めたり、
プリンスという名前を捨てたりと奇矯な振る舞いが目立つようになった、
というかそればかりが聞こえるようになった。
才能を持て余すというかコントロールが効かなくなってプリンス自身が振り回されているようだった。
実際にはレコード会社との軋轢が相当なフラストレーションとなっていたようだが。
もちろんその頃の作品も悪くはなく、
「Come」(1994)や「Gold Experience」(1995)はなかなかいい。
21世紀に入ってからの諸作もいい。
全然力が衰えない。
 
そのプリンスの作品が死後、日本でも継続的に再発されるようになった。
デラックス・エディションも合わせて、というケースが多い。
未発表曲やライヴ、様々なミックスなど。
代表作「Purple Rain」(1984)の3枚組とか。
Sign of The Times」は国内盤でも8枚組が出た。
「Versace Experience」(1995)といった相当レアなアルバムも再発されたのに、
いくつかの重要なアルバムがその対象とならない。
「Black Album」も「Lovesexy」も「Diamonds And Pearls」も、そう。
それがようやく、「Diamonds And Pearls」が出た。
 
デラックスエディションが様々なミックス違いを集めた2枚組。
スーパーデラックスエディションがライヴや Blu-Ray を含む8枚組。
ライヴ音源が気になりつつ、金が続かないと今回は2枚組とした。
 
1枚目のリマスターもいいんだけど、
2枚目のミックス違いもやはりいい。
おそらくプリンス自身がスタジオにこもって自らミキサー卓に陣取って
切り貼りしたり演奏を重ねたりしてるんじゃないかな。
延々同じリズムを繰り返すだけの凡百のダンスミックスと称するものとはわけが違う。
よりダンサブルで実験的な別バージョンと捉えるのが正しいと思う。
なお、多くは当時国内盤が出た「Gett Off Remix」というミニアルバムに収録されていた。