先週買ったCD #166:2023/12/25-2023/12/31

2023/12/27: メルカリ
The Work 「Live In japan」 \2530
 
2023/12/27: Sony Music Shop
The Street Sliders 「Nasty Children」 \2625
 
2023/12/28: diskunion.net
Julie London 「In Person Julie London At The Americana」 \1500
Snooks Eaglin 「Travelin' Mood - Imperial Records Years」 \980
 
2023/12/29: BOOKOFF 練馬光が丘店
311 「Sound System」 \693
Blue Aeroplanes 「Life Model」 \550
Descendents 「Enjoy!」 \1760
Michael Jackson 「Histroy Past,Present And Future, Book I」 \990
Brand New Heavies 「Shelter Tour Package」 \693
Antonio Carlos Jobim 「Tide」」 \792
 
2023/12/29: diskunion.net
Art Ensemble Of Chicago 「Bap-Tizum」 \680
The Work 「Slow Crimes」 \1900
 
2023/12/30: DiskUnion 神保町店
Johnny Thunders & The Heart Breakers 「The Very Best Of Johnny Thundes」 \361
Claundine Longet 「Colors」 \456
 
---
Julie London 「In Person Julie London At The Americana」
 
ブックオフ巡りの醍醐味は
とあるジャンルになかなか詳しい人が最近ごそっと売ったんだろうな、というのに出会うこと。
ロックの棚は可もなく不可もないのに、やたらブラジル音楽のレア盤が出ているとか。
ヨーロッパの映画音楽の古い国内盤が並んでいるとか。
 
札幌に出張に行くようになり、狸小路近くの店舗を毎回覗く。
とても大きな店舗で品ぞろえがそもそもいいんだけど、
あるとき入った時、女性ジャズヴォーカルが充実してて。
アン・バートンの80年代のレア盤の国内盤帯付きであるとか。
迷いに迷ってキャロル・スローンとジュリー・ロンドンと3枚買った。
 
このときのジュリー・ロンドンは10年前に出た「Live At New Latin Quarter」
赤坂のナイトクラブ『New Latin Quarter』での1964年の公演を録音したもの。
どういう経緯なのか、2013年にシリーズで発売された。
他にルイ・アームストロングナット・キング・コール、パティ・ペイジ、ヘレン・メリルとそうそうたるメンツだった。
欲しいと思いつつ買おうかどうか迷っているうちにすぐ店頭から消えてしまった。
10年後、ひょっこりと札幌で再会。当然、購入。
 
日本でのステージなので、冒頭と最後の挨拶は日本人の支配人なんだろうか。
”Root 66” で有名なヴォーカリスト、ボビー・トゥループがゲストで
彼の率いる小編制のコンボがバックにつく。
ジュリー・ロンドンのアルバムは数枚聞いただけでそんなに詳しくはない。
ジャズ・ヴォーカルとしては上手じゃないと評する人もいるが、
雰囲気、存在感としては第一級のものがあると思う。
世の中の人が女性のジャズ・ヴォーカリストに抱くけだるいイメージを一身に体現しているというか。
ジャズの日陰の部分、エンターテイナーとしての華やかな部分、どちらも兼ね備えている。
 
このライヴアルバムでは
”Bye Bye Blackbird” ”Fly Me To The Moon” ”I Left My Heart In San Francisco” といった
スタンダードナンバーを歌い、ボビー・トゥループ も ”Route 66” ”My Funny Valentine ”など数曲。
またジュリー・ロンドンに戻り、”Kansas City” ”Cry Me A River” など。
乾いた、ひんやりとした空気を感じた。
そこまで大きな建物ではないはずなのに、客席との間に距離感がある。
この時期ならばアメリカを代表する歌手が来た、という扱いもあったのでは。
そのソワソワした感じもあったと思う。
独特なアンビエンスがあって、面白いライヴ盤だった。
 
1959年にオープンしたニューラテンクォーターは当時『東洋一のナイトクラブ』と呼ばれたという。
過去の出演者を見てみたら、他に
この時代の赤坂で、東洋一、というのだから一流であるだけではなく、
相当後ろ暗い金と権力の動く場所だったんじゃないか。
力道山がここで喧嘩となり刺され、後に若くして亡くなったのは有名な話か。
(僕はその事件でなんとなくその名前を覚えていた)
今調べていて初めて知ったんだけど、店は地下にあって、
1982年に世間を賑わせたホテルニュージャパンの火災はその地上部分の建物だったという。
 
ジュリー・ロンドンのライヴアルバムをもっと聞いてみたいと探すも、
今回入手したのがオフィシャルでは唯一のライヴアルバムだった。
紙ジャケで再発されたのを見つけることができた。
同じく1964年の音
こちらはオーケストラをバックに、曲によっては男性コーラスも加わる。
”Send For Me” ”Kansas City” ”Bye Bye, Blackbird” ”Cry Me A River”
といったスタンダードを歌うのはニューラテンクォーターと同じ。
囁いたり呟いたりしながら始まって、朗々と歌い上げる展開へ。
派手さはなく、終始翳りがある。
ジュリー・ロンドンよりテクニカル的にうまい歌い手はいくらでもいるだろう。
しかしこの空気を出せる人はなかなかいない。
崩しの美学とすら言えるかもしれない。
 
ハスキーとまではいかない、かすれ声。
テクニカル、と書いたが、例えばジュリー・ロンドンの歌うこの2枚のライヴアルバムにて
スキャットがなかった。
もし仮に、ルルル……とかドゥビドゥバ……という歌詞があったならば
彼女は忠実に歌っただろう。
歌詞になかったのならば歌わない。
恐らく、そこには一切のアドリブがない
 
彼女は言葉、歌詞の人なんじゃないかと思った。
しかしかみしめるように、吐き出すようには歌わない。
ストーリーテラーでもない。むしろその逆。
ただ淡々と言葉を置いていく。
聞く側がそこに想いを乗せる。
 
少人数の編成のバックで歌うスタジオ盤を次は探してみようと思った。
ギターだけの「Lonely Girl」が2010年に紙ジャケで出た時に買っていた。
このアルバムを聞き直したが、よかった。
なぜ僕は iPhone からはずしていたのだろう。
良さが分かるまで時間がかかったのだな。
コール・ポーターの曲を歌う、
「All Through The Night」というアルバムを次に聞いてみようとオーダーしてみた。