03/25-03/31

03/25(月)
 
やけにリアルな夢を見た。
とある有名男性アイドルグループの付き人的な立場。
彼が問題を起こし、ガラス張りの豪邸に戻ってくるが、そこから出られなくなる。
そこにいることは知られてないのだが、時間の問題。カーテンを閉めなければ、と思う。
 
朝目覚まし時計が鳴らず。いつもの10分遅れでハッとして起き上がる。
電池が切れたのか。
 
出社後、応募原稿をプリントアウトして綴じ紐で綴じて、封筒に入れて郵便局に持っていく。
これで一区切り。次の作品を考えよう。
 
昼、弁当。鮭、ウインナー、ほうれん草入りの卵焼きなど。
闇に葬って墓場まで持っていくはずの案件がひょんなことから明るみに。
なぜこのタイミングで? 気が遠くなる。
提案書のレビュー。獲れても獲れなくても大変。
行き詰る気持ちで、明日は明日の風が吹くと定時過ぎに出る。
タワレコで取り置きのCDを受け取る。
ヨミが外れて、ポイント15倍とならず。
 
帰ってきて掃除や弁当作りなど。
酒場放浪記。その後、NHK星野源スペシャル。
ドームツアーの模様とインタビュー。
「pop virus」「恋」「アイデア」「Hello Song」など。
いいことを言っていた。星野源自身が人から聞いた話だけど、
イデアとは複数の問題を解決するものなのだと。
 
夜遅く、妻が仕事から帰ってくる。
弁当を食べる暇すらなかったようだ。
23時半に眠る。
 
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03/26(火)
 
昨晩目覚まし時計の電池を入れ替えて、今朝予定通りに鳴った。
今日はスーツ。コートなし。
昼、弁当。LIVINで買った豚プルコギ。
 
このところのらりくらりやってたのが、
このままで終わるのですかと怒られる。
成果物のイメージが全然合っていなかった。
そもそもこれ必要? という話に。
これまで作成した業務フローは捨てて、業務一覧へ。
夜21時半までその見直しをしていたか。
あとは明日ということで疲れ切って帰ってくる。
 
妻が先に帰ってきていて、クリームシチューをつくってくれている。
こういう日に食べると心にしみる。
明日の弁当用に辛子高菜チャーハンをつくる。
午前0時前に寝る。
 
妻が学生時代バイトしていた店のマスターが亡くなったと聞く。
小平の、一橋学園の反対の方。結婚祝いで一度伺ったことがある。
 
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03/27(水)
 
業務一覧見直しの続きを朝7時から。
昼食べている暇なし。というか喉に通らず。
何とか形にする。
午前中に見積・提案の打ち合わせがあるが、
現状を伝えてもうそれどころじゃないとサポートに入ってもらう。
午後、利用部門と打ち合わせ。
その後業務一覧のレビュー。18時まで。ようやく弁当。
20時半まで仕事して、切り上げて帰ってくる。
簡単に掃除をして、明日の弁当のため鯖を焼く。
昨晩飲まなかったので今晩は缶チューハイとウィスキー。
猫歩きミニとまんぷく
妻は仕事で徹夜。
 
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03/28(木)
 
なんだかぐったり疲れている。
あと2日乗り切る。
コーヒーの量が増える。
朝から見積最新化作業。
一日が終わった気になるが、午後はずっと打ち合わせ。
レビュー。全然できていない、レビューにならないという話に。
あれこれ辛い。
19時半まで仕事してもうだめだとオフィスを出る。
 
妻も早く帰ることになり、駅で待ち合わせ。
スラックス用のハンガーを買おうとかと探すが、太目のが見当たらない。
細めのはあるんだけど、朝折ってしまった。太目がいい。
猫砂や総菜を買って車に乗せてもらって帰る。
割引の刺身や海老と枝豆の天ぷらなどつまみながら、缶ビール。
妻がポテトサラダを作ってくれる。
お笑い演芸館は以前の再放送。
明日の弁当のため、パックの焼肉を焼く。
23時半、布団に入る。
 
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03/29(金)
 
午前中ずっと業務一覧の見直し。
午後、打ち合わせ。
終わる見通しが立たない。
本来ならこの日要件定義終了だが、なし崩し的に延長。
そうなることは皆それとなく思っていた。
今日ばかりは遅くまでやってもしょうがないと
疲れきって定時でオフィスを出る。
 
チコちゃんは朝ドラ特番とのコラボ。
新日本風土記は喜多方。蔵の町。
SONGS はスガシカオ
おんな酒場放浪記は新人の弓木さん。
万波ちゃんが外れたのかなと妻に言うと、産休なんだろうねと。なるほど。
急遽そうなったから、TBSのアナから抜擢なのだろうか。
ラフストーリーの最終回を見て寝る。1時半。
 
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03/30(土)
 
7時半起きでまんぷくの最終回を見る。眠い。
この日予定なし。妻は終日豪徳寺で伝習座。
The Jesus and Mary Chain の2枚目から4枚目までの
deluxe editon の DVD を何とはなしに見る。
10時を過ぎて、散歩がてら LIVIN に買い物へ。
公演の桜を見る。たくさん屋台が出ている。
昼夜と食べるものを買って帰る。
 
帰ってきて、クリーニング屋へ、LIFEへ。
昼はを冷凍ご飯を解凍して LIVIN のかき揚げと白身魚フライを乗せて食べる。
常備菜をつくる。ほうれん草を茹でて凍らせておく。
インゲンの胡麻和え、切り干し大根の煮物。
『ロックの創造者たち』を読み終える。
ソファーで昼寝。
日が暮れてイタリア。ハンカチなどにアイロンをかける。
年度末ということで特番ばかり。
ブラタモリはなし。
 
21時から2年ぶりのケータイ大喜利。腹抱えて笑わせてもらったなあ。
やはり歴代のレジェンドが多く採用される。
2年分溜め込んでいたものを吐き出したかのようだった。
ここにもチコちゃんが出てた。
「 ウザすぎる体育教師・元気田イクゾー。教え子の同窓会に呼ばれて何をした?」
「「きょうの料理」にて。「ははぁ~ん、このあと合コンだな…」土井善晴さん何と言った?」
「2025年、大河ドラマ鈴木奈々」放送決定!どんなシーンがありそう?」など。
 
見終わって音楽を聞きながらウダウダ過ごしているうちに寝落ち。
伝習座が終わって妻が帰ってくる。
午前0時半に寝る。
気温が下がって肌寒い1日だった。
音を消して甲子園を見ていた。
夜、雨。
 
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03/31(日)
 
ゆっくり寝てるつもりが、みみたがボールを投げろと起こしに来る。
二度寝。10時からイタリアの再放送。
Lazy Sunday を聞きながら、スパゲティミートソースを作る。
妻が車を車検に持っていく。
面白いことを言っていた。
ジミー・ペイジとか、ギターを上で弾く人はロックは弾けてもロールはできない。
ロールは下半身なんだと。チャック・ベリーもギターを低くして弾いていた。
龍谷大平安と明豊が延長戦へ。明豊が勝った。
 
午前中は雲が出て寒かったが、午後から日が出た。
Lazy Sunday が終わって、妻と花見がてら公園まで散歩。
八ヶ岳のスモークベーコンやおでんなどを屋台で買って
家からもってきた缶ビールを飲んでのんびり過ごす。
ステージでやってることを見に行ったり。
グルジアのワインを出してる屋台があって、甘口の赤を飲んでみた。
なかなかおいしかった。
南側に渡ってぐるっと回って帰ってきた。
ホテルカデンツァに初めて入ってみたら
あちこちの宴会場にて入社式の懇親会が開催されていた。
スーツ姿の固い若者たちがぞろぞろと。
 
弁当をつくる。鮭とウィンナーを焼く。ちくわを炒める。
風呂を沸かしてはいる。
『ポツンと一軒家』を少し見て、『いだてん』
その後見たいテレビはなく、音楽を聞いて過ごす。
メロン牧場』と藤原ヒロシのCDガイドブックを読む。
『Song to Soul』は「朝日の当たる家」
ブルースの古典だったんですよね。

近くの公園で花見 '2019

昨日のこと。予定のない日曜。午後から日が出て暖かくなった。
Lazy Sunday が終わって、妻と花見がてら散歩。
満開。まだ散り始めた桜は少なく、この日が一番の見ごろだったか。
 
公園は大勢の人でにぎわっていた。屋台を見て回る。
前にも買ったことがある八ヶ岳の燻製屋のベーコンとローストチキン。
埼玉から来たという「味のイサム」というところの揚げ豚を買って、
丘の上の芝生に直接座って家から持ってきた缶ビールと缶チューハイを飲む。
周りはビニールシートを敷いた家族連れやカップル。
遠く、西側と北側にステージがあって西側ではバンド演奏。
大塚愛さくらんぼ」をやさぐれた感じでカバーしていた。
もうひとつはお笑いとかアイドルとか、けっこうな観客が集まっていた。
このステージの方に行ってみる。
イケメン系ヒップホップグループ? に若い女の子たちが群がる。
 
おでんと熱燗を売っている屋台があった。
普段はどこかの飲み屋なのだろうか、常連さんらしき人たちが脇のテーブルで飲んでいた。
妻が買いに行くと、おでんは品切れ間近であれこれサービスしてくれた。玉子は売り切れ。
グルジアワインを売っている屋台があって、赤の甘めのをカップ一杯買ってみた。
ほんのりスパイシーでおいしい。グルジアはワイン発祥の地なのだとか。
妻が聞く。世界の料理を研究していてグルジアワインに行きついたのだと。
鶏のクリーム煮やボルシチなんかも売っていた。おいしそうだった。
隣にいた男性が酔っぱらてて鍋の中のものを勝手に食べてて、
桜の季節の屋台らしい、ほんわかと怪しげだった。
 
缶ビールに缶チューハイ、熱燗にワインと飲んで顔が赤くなった。
バンド演奏のステージに通りがかるとエレクトーンを演奏している人がいて、
「USA」では子供たちが夢中になって踊る。
この人は最初、Deep Purple の「Burn」をやってて、
その後「となりのトトロ」をやってたのが遠くから聞こえた。
エンターテイメントに徹して盛り上げる。
しまった、ちゃんと見ればよかったな。
 
公園を出て、橋を渡る。桜の枝がすぐ近くに迫るポイントがあって、
多くの人がそこで写真を撮る。
そういえば昨日の昼歩いていた時はここで着飾ったアイドル予備軍のような女の子を
立派なカメラで撮影する中年や初老の男性、という組み合わせを何組か見かけた。
今日はいない。あれはそういう撮影会イベント的なものがひっそりと開催されていたのか。
 
18時前、まだ少し日が出ていたので南側の公園もぐるっと回る。
草野球チームが泥だらけのユニフォームを着たまま、東屋で宴会。
そのすぐ横のバスケットコードで子供たちがボールを追いかける。
ゆっくりと日が暮れていく。いい日曜だったな。
明日からは四月か、そういえば新しい元号が発表されるんだったな、と思う。
帰ってきてまたしばらく酒を飲んでゆっくり過ごした。

『まんぷく』終了と朝ドラランキング

金曜、早く帰ってこれたので『チコちゃんに叱られる』を見ようとしたら
歴代の朝ドラの主演女優を呼んでの特番だった。
こういうのって最近だと夏菜が出てくるんだろうか、と思いきやそんなことはなく。
おしん』の小林綾子、『ふたりっ子』のマナカナ、『ひらり』の石田ひかりなど。
キリッとした顔立ちの美人が後ろの方にいるなーと思っていたら、
『まっさん』のシャーロット・ケイト・フォックスの横にいた通訳の方だった。
 
視聴者からの投票によるランキングが発表された。
 
 1位『あさが来た』
 2位『あまちゃん
 3位『ひよっこ
 4位『カーネーション
 5位『ちゅらさん
 6位『ごちそうさん
 7位『半分、青い。
 8位『ちりとてちん
 9位『まんぷく
 10位『ゲゲゲの女房
 
あまちゃん』か『ひよっこ』かと思いきや『あさが来た』ってそんなに人気だったのか。
1万票ほど差をつけていた。
おしん』は入らないんですね。というか見たことない、という人の方が今は多いんでしょうね。
ここ10年ほどの作品が上位に来ていて、記憶に新しいのだろう。
そんな中、『あぐり』が14位だった。あれはなぜかよく見ていた。
吉行淳之介の母の話で、野村萬斎が好演していたからだろう。
僕も一票入れるとしたら『あぐり』にすると思う。
 
2018年度の『半分、青い。』も『まんぷく』もさほど振るわず。
そんな中、昨日『まんぷく』が大団円の最終回。
まんぷくヌードル」もようやく売れ行き好調となって萬平と福子は世界の麺を食べる旅へ。
僕も思わずカップヌードルを食べてしまった。
 
妻が熱心に見てたので僕も一緒になって夜のBSの再放送を見ていた。
面白かったのは5カ月目、「まんぷくラーメン」をつくるところまでかなあ。
6カ月目の「まんぷくヌードル」の頃になるとマンネリになった気がした。
具材をどうするか、麺を割れないようにするにはどうしたらいいか、
様々な課題が持ち上がっては萬平さんを初めとして周りの人たちのアイデアで解決。
その繰り返し。しかも、その大半はカップヌードルミュージアムでの展示や
子どもの頃に読んだ学習漫画で既に知ってしまっている。
新しい登場人物が出てきて盛り上げることもなく、
弟子の画家のエピソードは余りにも弱かった。
まんぷくラーメン」完成でこのドラマはいったん終了、
まんぷくヌードル」は1ヶ月かけてのゆるやかなエピローグに思えた。
視聴率も3月はよくなかったとニュースサイトで読んだ。
 
福子役の安藤サクラがうますぎた、というのもある。ダントツでうますぎた。
安藤サクラの表情や身体の動き、セリフ回しを見ていると
これまでの主演女優はただ突っ立って口をパクパクさせている人形にすら見えてくる。
でもその分、女優としての成長は描けなかったかなと。
オーディションで選ばれた無名の新人が
最初どうにも固かったのが少しずつほぐれてきて、主演というポジションにも馴れていく。
最後は女優として一人前の存在になる。
ストーリー上の主人公の成長と共に主演女優の成長が重なると思わず見たくなる、応援したくなる。
今回そこが全くないわけで。
いや、安藤サクラが何も成長しなかった、得なかったわけはないんだけど。
芝居の世界に初めて足を踏み入れる無我夢中感が
主人公の一生懸命生きていく姿にシンクロした時の得体の知れない勢いというか。
そういう醍醐味はなかったな。安定感ばかりがあった。
それでいくと次回『なつぞら』が広瀬すずで、その次の『スカーレット』が戸田恵梨香だと
また同じような守りの方向性かな。
さて、どうなるか。

職業体験研修

前にも書いたことがあるかもしれない。
こういう研修があればいいな、と思うのが、
全く違う業界の仕事を一週間ほど体験できるというもの。
工場の生産ラインに立つとか、ファミレスの接客とか、牛乳の配達だとか。
専門性がさほど高くなく、半日程度で仕事の流れが分かってすぐ始められる職業。
(もちろんこれらの仕事が浅いということではなく、深めようと思えばいくらでも深められる)
 
ひとつの会社の中に長くいればその業界どころかその会社のことしか知らないままだし、
転職するにしても同じ業界のなかで会社を変えるという人が多いだろう。
業界をまたがる転職をするにしても一生に一度ぐらい。
それを何度も繰り返しているという人は実際にはそんなにいないのではないか。
 
長くいるとその会社の中でのみ役立つスキルが増える分、視野はどんどん狭まっていく。
それをなんとかしたい。
それ以上に重要なのは、
製造業の人が物流や小売りを体験する、接客業の人が製造工程を体験するということで
自分の仕事がどういう位置づけなのか流れの全体像の中で捉え直し、
新しい視点からヒントが得られるのではないか、ということ。
あるいは、オフィスで働く人がビルの清掃をやってみるとか。
農業や漁業を体験してみるとか。
 
そういう研修の会社を作れないか。
様々な企業と提携して。
体験してみたらその業界の方が面白いと思った、やりがいがありそうだった、
ということで転職する人もいるかもしれない。
というか逆に、転職する前のお試しとしても利用できる。
転職エージェントの会社と一緒になって進めるのがよさそうだ。
 
1年のうち1週間なのか、1か月のうちに1日なのか、
他の業界を覗いてみることで多くの人は
その業界で働く方のことを感謝するようになるだろうし、
そうすればより良い世の中になっていくんじゃないか。ほんの少しでも。
どうだろうか。

下り坂

 
早く帰ってこれたのでテレビを見ていたら、
NHK BS『こころ旅』のミニ総集編のようなもの。
視聴者からのリクエストを放送する。
その中に、自転車に乗った火野正平が坂道を下る場面がいくつかあった。
火野正平は「人生下り坂最高!」とつぶやく。
 
ああ! と懐かしい気持ちになった。
これまでの人生で最も壮快だった瞬間は僕も、
自転車でスピードを出して坂道をひたすら勢いよく下り続けた時だった。
小学4年生か5年生か。
日曜の朝、町はずれのふもとの広場に集まって大人が何人か先導してくれる中で
子どもたちが自転車で連なって山道を1時間ぐらいかけてえっちらおっちら上っていく。
地元の八十八カ所があって、寂れかけた工場があって、廃屋があって。
上から車が来たというと声かけあって下まで伝える。
 
やがて深い森の中。
奥の奥の峠まで到着すると少し休憩して、そこからは一気に駆け下りていく。
ブレーキを片手にしつつも決して握ることなく山道を、右に左に風を切って。
どんどんスピードが上がっていく。危険なくらいが気持ちいい。
やがて誰かが叫び出し、一群に伝わっていく。
風景が視界から消える。
自転車にまたがった自分が、そのスピードが、この世界とひとつになる。
 
ふもとまで戻ってくると、また広場へ。
缶ジュースを1本もらって飲んだような記憶がある。
僕らはお金を出していない。
町会費のようなものから出ていたのだろうか。
こういうサイクリング(?)を企画した人がいるのだろう。
僕は何回か参加した。
前後数年実施されてたんじゃないか。
今だったら絶対できないだろうなあ。危険すぎると。
 
ものすごい時間を我慢して我慢して坂道を上っていって、
下りていくのはほんの一瞬。
人生ってこういうものなんだろうなあと小さいながら思った。
それゆえに、その、下りていくときは何も考えずに前のめりに身を委ねる。
あの速さ、あのスピード。
あれ以上の時は、もしかしたら他になかった。

冒頭を試作

昨日、3年ぶりに弟から電話があった。
LINE ではたまにやり取りしてたから、なんで今更電話? って最初は思った。
「あのさあ、兄さん」
 
母が、現れたのだという。
日曜、予定もなく寝そべってスピリッツを読んでいた。
そこにアパートの部屋のインターホンが鳴って、出ようとしたら母が既に部屋の中にいた。
こちらには気づいていない。慌てて見渡して何かを探し回ってから、隣の部屋へ。
弟は凍り付いた。
10年前に亡くなった母が突然、幽霊になって目の前に現れた。
いつものエプロンをしていたという。
「花柄の、色褪せた…」
その母が隣りの部屋に入ってから出てこない。
3分後なのか、30分後なのか。
思い切って様子を見てみたら既にいなかった。
 
それが1週間前で、その後母の幽霊は見なかったという。
ぞっとしたまま過ごして、部屋の中にいても落ち着かなくて、
ようやく人に話せるようになったと。
「仕事から帰ってくるだろ、そしたら料理を作って待ってるんじゃないかと考えるんだよ。
 でも、誰もいない。鍵を開けるとこれまで通り、真っ暗な部屋があるだけ」
 
そして今日、妹からも電話が。
「あれ、あの、ほら、あれ、あの」
やはり母が現れたのだと。取り乱していた。
「だから、なんなのよ!」と僕に向かって叫ぶ。
弟と同じように、チャイムが鳴って、既にそこに母がいて、
部屋の中で何かを探し回って、そして妹には気づかない。
 
小さい時に父が亡くなって、
僕らが大学を出て社会人になった頃、突然の病気で。5年前。
実家というものが消えてしまって、
大学も職場も大阪に広島に東京とバラバラで、僕ら兄弟は会うことがなくなった。
 
順番から行くと次は僕か。
あのインターホンが鳴るのか。玄関のドアを見つめる。
いつのまにか、いや、既にこの近くまで来ているのかもしれない。
母は何を探しているのか。まだ、この世にいるのか。
幽霊を見るというのは初めてだ。
僕は母にどんな声をかけるべきか。
それは母に聞こえるのか。

要件定義というもの

今更ながらシステム開発の要件定義って難しい。
パッケージ製品に対するアドオン開発の置き換えなのでなおさら難しい。
 
要件定義ってこういうところが難しいのだな、と改めて思ったことをいくつか。
 
・お客さんのやりたいことを整理して、
 こういうことですねとオウム返しするだけならば簡単。
 そのお客さんの見えないところで、
 システム内部、システム間の整合性を取るのに10倍ぐらい時間がかかる。
 そこのところが見えないので、
「なんでそんなに時間がかかるのか?」「生産性が低いんじゃないか」となる。
 
・要件定義とは開発するシステムや改善する業務について
 よくわからないことばかりで地ならしをしているようなもの。
 自然と「全員がボールを追いかけるサッカー」になってしまう。
 だけど自分のポジションはここだからと守ったり攻めったりする範囲を狭めると
「あいつは仕事してない」と思われてしまう。
 よほどの専門分野を持ってない限り、全ポジションを全員が守ることになる。
 
・その打ち合わせの目的がレビューなのかヒアリングなのか検討なのかはっきりすべき、
 とはよく言われますが。要件定義でそれがまた難しい。
 レビューのつもりが全く知らなかった話が出てきてヒアリングになってしまい、
 そのまま検討の場に流れ込んで発散して終わり。
 いつ終わるのか見通しが立たず、しかしあちこちからスケジュールがないと怒られる。
 しかし、そのとき知らないものというのはあくまで見えてないのだから
 見積もれないものですよね。
 定量的に測れず、バッファを積んだとしてもそのバッファが適切かわからない。
 
その打開策が「こういうシステムをつくりたい」という
方向性・コンセプトの立案、共有なんだろうけど、口で言うほど簡単なものではなく…
要件定義は面白いのだが、その分難しい。