<font color = 800000>
SPK 「Live at the Crypt / London - April 25 1981」 \1577
SPK 「Machine Age Voodoo」 \1577
SPK 「Zamia Lehmnni Songs of Byzantine Flowers」 \1511
Graeme Revell 「The Insect Musicians / Necropolis, Amphibians & Reptiles」 \1907
John Zorn Masada 「Live in Jerusalem 1994」 \1973</font>
Carly Simon 「No Secrets」 \3801
Deficit Des Annees Anterieures 「Action And Japanese Demonstration」 \2277
---
4,000円近い値段になっている。
迷ってその場で買うのはやめて、一晩考える。
やっぱ買うことにして DiskUnion のサイトからオーダーした。
届いたら帯がテープで貼り付けしていてはがれないし、
その帯に「特製カラーカード付き」とあったのに
それらしいのがなかったけど、まあよしとしよう。
もう二度と出会えないかもしれない。
共に日本で放送されたのは1987年、僕は12歳、中学校1年生だった。
大人のドラマが見たくなるころ。
片やCIAの秘密兵器として開発された戦闘用ヘリコプター、
片やAIの相棒「キット」を搭載した進化し続ける
スーパーカー。
夢中にならないはずがない。
放送の次の日はクラスでその話ばかりしていた。
僕はほとんど見れなかった)
ターラララーラララーラララー、
ふとした弾みに思い出す。
煌びやかなシンセのメロディに僕ら片田舎の少年たちは未来を感じた。
このサントラは残念ながらオリジナルの楽曲ではない。
日本人が編曲して演奏している。
記憶の中にしか存在しないメロディなので多少の誤差は問題なし。
というか言われなかったら気づかなかっただろう。
エラーウルフのみ、フルオーケストラで演奏する長めの曲が1曲入っている。
チェロがソロで間奏を弾くパートがある。
テレビ版ではどうだったろう?
映画版で使われたのかな。
僕はおそらく60歳を過ぎてリタイア世代になったら
ずっとこういうの見てるんだろうなあ。
本編が終わって残念に思っていたら2が始まるという。
初日ワクワクしながら見ていたら
ホークは大けがを負ったという設定で登場せず、
兄のセント・ジョンが主人公となって
ヘリコプター以外は登場人物が全員入れ替わっていた。
子供心に世の無常を感じた出来事だった。
---
Graeme Revell 「The Insect Musicians / Necropolis, Amphibians & Reptiles」
SPK とは『Sozialistisches Patientenkollektiv』(
社会主義患者集団)とのこと。
その患者にして後に自殺したニール・
ヒルを中心に結成。
この逸話
からしてその手の音が好きな人にはたまらないものがあるだろう。
ノイズ、インダストリアルを代表するグループとして
らと並ぶ音楽性、さらにそれ以上の存在感がある。
1作目「Inforrmation Overload Unit」(1981)のジャケットは脳手術の写真、
内側には精神病棟の写真がいくつか。
後の編集盤「Auto Da Fe」のジャケットは中国と思われる国で
刑罰を受ける三人の女性たち(首を固定する板のようなものでつながれている)、
裏は絞首刑後の場面。
内側は
耳なし芳一の映画から取られたのか、顔にびっしりと経文が書かれた男性。
音はここから推して知るべし。
寄りを戻したりしているうちにメンバー交代を繰り返して音楽性をどんどん変えていく。
今回あわせてリマスター盤を購入した
3作目「Machine Age Voodoo」(
1984)は女性ヴォーカルをメインに据えて
エレクトロなダンスミュージックへ。
しかしそれは享楽的なものではなく、鋭角でヒリヒリしている。
4作目「Zamia Lehmanni: Songs of Byzantine Flowers」(1986)は
どの時代でもない、どの国でもない、
架空の世界の見てはならない儀式を垣間見るかのような。
そういう意味では架空の映画のサントラのようだった。
まあでもB級映画がどうしても多いのかな。
手元にあるのが『夢の涯てまでも』だけなので聞き直してみると
現実感を失った美しい風景といった感じで
凶暴なノイズミュージックからは余りにも遠くに来てしまった。
未発表曲を提供していて、とてもお薦め。
U2「Actung Baby」の ”Until the End of the World” はこの映画のために書かれた)
今回取り上げる
「The Insect Musicians / Necropolis, Amphibians & Reptiles」は
1986年のソロ名義のアルバム2作をまとめたもの。
「The Insect Musicians」はジャケットの解説を読むと
フェアライト社製のコンピューターに取り込んで
楽器の演奏に聞こえるようエディットしていったのだという。
聞いてみると確かにこれは
羽を小刻みにこすり合わせた音がもとになってるんだろうなあ、とか。
小中学生向けの科学番組の BGM みたいな感じ。
ブックレットには虫の鳴き声の波形らしきものが並んでいる。
それぞれの曲には音源となった昆虫のリストが挙げられている。
このア
イデアが生まれたのは虫かごの中の虫が鳴いている情景について
詠まれた俳句であって、というようなことが書かれていた。
日本の”さくらさくら”が元になっている曲もあって
直接的に虫の鳴き声と琴を重ねたような雅な雰囲気となっていた。
青年期は荒れ狂ったノイズミュージックの権化として振舞ったわけだけど、
幼少期は昆虫少年だったんだろうなあ。
もう1枚の「Necropolis, Amphibians & Reptiles」が
個人的にはより興味があって。
アドルフ・ヴォルフィの残した作品、
都市と楽譜と人間と教会と文章が混然一体となった異様な密度の絵画を
元にした楽曲集のようだ。
何かが損なわれた分、身の回りの物の見え方・表し方に対して
とてつもなく斬新な感性を爆発させる。
ヴォルフィもまた、極貧の家庭に生まれ虐待に近い生活を送ったのちに
幼女への暴行事件を起こし精神病院に収監される。
19世紀末から20世紀初めという時代。
彼は二度と外に出ることは許されず、膨大な量の作品を残してこの世を去った。
その多くで、構成するパーツのひとつとして楽譜が散りばめられている。
実際に彼自身が『作曲』する、彼の住む世界に鳴り響く音なのであろう。
恐らくその楽譜をモチーフとして演奏を行ったアルバムと思われる。
あるいは、その作品自体のイメージを膨らませて作曲したものか。
さほど奇矯な曲はなく薄暗く、物寂しい雰囲気に統一されている。
朗読だけの曲もある。アドルフ・ヴォルフィの書いたテキストなのか。
異世界の中で迷子になるってこういう感じなんだろうな。
元のアルバムは
グレーム・レヴェル / Nurse With Wound / D.D.A.A. が
それぞれ曲を持ち寄っている。
これ、完全盤出ないかな……
アナログで一度発売されただけのようだ。