「矢中の杜 ”縁”プロジェクト2011」前編


5月に公演を見に行った「百景社」という劇団が
太宰治の『斜陽』をやるというので見に行ってきた。
http://www17.plala.or.jp/hyakkeisya/


劇団の活動拠点のあるつくば市へ。
訪れるのは初めて。もちろんつくばエクスプレスも初めて乗る。
4人掛けなんですね。快速で45分。案外近い。地上に出る。
広い道路を挟んで公園と「クレオ スクエア」というショッピングモール。
ABC MART」と「COMME CA ISM」の看板。
中心にはバスターミナルと広場? 余りにも計画的。しかも、うまく行き過ぎ。
モニュメントのように巨大な「Right-on」におののく。
駅前の商店街、その裏通りってものがごっそり抜け落ちたかのように、存在しない。
街がきれいすぎる。無菌室的、ここまで人工的だったとは。
目の前の全てが銀色にピカピカと「モデル都市」的。何もない青空がよく似合う。


ブラブラと歩く。広い歩道をジョギングをしている人がいる。
「デイズタウン」というショッピングセンターに出る。工事中。引き返す。
ようやく住宅地の一端が見えかけるが、ロードサイドの大型店があるだけ。
生活感が希薄。いや、もちろん無人の町というのではないんだけど。
住み心地はよいのだろうと思う。
30過ぎてここに住んだら、二度と東京に住めないのではないか。
いや、初めて来た町の中心部だけを見て最初の10分で全てを判断したらいけないか。
しかし、そうもしたくなるような不思議な雰囲気に満ち満ちている。
吹き溜まった闇はどこへ行くのか? ひたすら郊外へ?


戻ってくると公園の向こうにロケットのようなものが見えた。
あれはなんだったのだろうか?
「ロボットの街 つくば」「この歩道をロボットの歩くことがあります」
というのぼりを見かける。


これ以上見るものはないな、とバスに乗って北へ、筑波山のふもとへ。
道路をひたすらまっすぐ進んでいく。新しい住宅が多い。密集はしていない。
ああ、中心部だけが広いのではなく全体として広いのだな、
それは計画的になされたのではなく元々東京とは尺度が違うのだ、
そんなことに気付される。だだっ広い。大型店舗ばかりが目に付く。
筑波大学を見かける。通り過ぎる。
高エネルギー加速器研究機構」という建物があって、そこがバス停になっている。
その他は地区の市民センターのような場所がバス停。そのうちのひとつで下りる。
いつのまにか東北的な寂れた田舎。来る途中、田んぼが広がっていた。


しばらく歩くと寂れた商店街に出る。大半の店がひっそりと死につつある。
一体誰が買うのか、地元のお年寄りだけなのか。
衣服も履物もわずかばかりの古びた商品を並べているだけ。
小さなスーパーも陳列棚がスカスカ。
ある店はやめたのに片付けもせずそれっきりとなって朽ち果てるがまま。
印象的だったのは一軒かつて何の店だったのか水槽がところせましと並んでいて
帰りに通りがかったら暗闇の中でぼんやりとした光を放っていた。