ボンカレーというもの

斉藤由多加著『「ハンバーガーを待つ3分間」の値段』という本を
先月ゴールデンウィークの頃に読んだ。
著者は一世を風靡した「シーマン」などのゲーム・クリエイター。
サブタイトルが「企画を見つける着眼術」となっていて
まさにその通りの本。どこからユニークな発想を得るか?


携帯電話は本来無線機なのに
「電話」と名付けたから身近なものとなった。
といった指摘に、なるほどなあと感心させられた。


最もハッとさせられたのは、(p.89を引用します)


|「ずっと変わらぬおいしさ」を売りに全盛を誇っていたボンカレ
|ーは、かつて「よりいっそうおいしくなりました」と謳ったとた
|んに姿を消してしまった。
| 今思うと、“ボンカレー”という新種の食べ物は、もしかした
|ら本当のカレーに近づく必要などなかったのかもしれない。レト
|ルトのカレーで私たち日本人が覚えたうまさは「本場のカリー」
|の味などではなく、“ボンカレー”の味だったのだから。


そうだよ、変わらないからこそそれでいいというものが存在する。
カップヌードル」しかり、「ぺヤング」しかり。
色気を出したかったら別の味を出せばいいのであって、
大元は一切変えない。
(いや、恐らく目に見えないマイナーチェンジを積み重ねて、
 どの時代にも一見「変わらない」ように感じさせているのだろう)


なるほどなあ、そういやボンカレーって見かけないなあと思って
調べたら今も普通にあるようだ。あれれ。
ボンカレーネオ」や「ボンカレーゴールド」といった名前となって。
かつてのクラシックな「松山容子パッケージ」は
沖縄を中心に発売されているという。
まあ、いいか。


学生時代を中心にレトルトのカレーを食べまくっていたけど、
本当においしいのは実はボンカレー
めいらく」の100円カレーではないか。
(学生時代、「めいらく」にはほんとお世話になった)
そういった安いカレーにスーパーで買った
3個100円のコロッケを3個まとめて乗せて食べるのがうまい。
ごちそう感がある。


それにしても今のボンカレーは湯せんではなくて、
箱ごと電子レンジに入れるのか。
何事も進化するものだ。