ヤクルトという会社

先週に引き続き、昨日午後も西新宿の本社で研修。
「未来予想塾」のSTEP0からSTEP1へ。
講師の方が日本と世界の産業の動向に詳しく、目からウロコの連発。
こういう分類の軸を立てて、こう横串で見るか!
聞いてるだけで自分の頭がよくなったような気がした。
こういった研修では初めて、この方の本を買って読んでみようと思った。


印象に残った話をひとつだけ書く。
原料があって、それを加工して販売するというとき、
石油はオイルメジャー、小麦などの穀物モンサントといったように
原料はがっちり欧米諸国の資本が押さえている。
植民地時代から今に至るまでずっと変わらず、それが権威の源になっている。
多少は生産しているとはいえ、日本がそこに入り込む余地はない。
日本が得意なのは職人のおやじが加工することと
店先まで来た客をおかみがおもてなしすること。
こちら側、ニアフィールドの分野に強い。


今注目されるビジネスモデルとしてヤクルトレディがある。
ヤクルトそのものは1930年、
胃の中で死ぬことなく、腸まで届くというカゼイシロタ株
培養・選抜を果てしなく繰り返した結果見つけるという
ノーベル賞級の発見から設立された。
その後、今から50年近く前、ヤクルトレディの制度を始める。
当時は男手をなくして母一人で子どもを育てている家庭が多かった。
そんな女性たちが活躍する場となった。
安心して働けるように早いうちから事務所に託児施設をつくり、
子どもが熱を出しても他の人がすぐ代わりを務められるようにした。


ヤクルトはスーパーなどの小売店でも販売されているが、
鮮度が大事なため毎日各家庭を回って届けた方がよい。
その巡回サービスは今や
独居老人の見守りや不審者の通報、フィッシュング詐欺の防止など
町の暮らしに欠かせないものとして
単なる販売・宅配にとどまらないものとなっている。
この細やかなサービスを毛細血管ビジネスという。
それが中国や東南アジアへと広がっている。


他の事例として富山の置き薬にヒントを得たオフィスグリコがある。
売店に納品して棚に並んだら終わり、というだけではもはや売れないんですね。
こんにちはと言って中に入っていける権利を持つところは強い。
オフィスの会話を耳にして、インフルエンザがはやっているとわかると
お菓子に限らず、マスクを売り始めるといったことも今はしているという。


なんで印象に残ったかというとたまたま最近、ヤクルトのことを考えていたというのがあって。
不思議な会社だよなあと。
小学校の頃、青森市内にあったヤクルトのスイミングスクールに通っていた。
日曜の昼、わざわざバスを2本乗り継いで遠くまで。大変だった。
泳げないから、というよりもいろんなものを恐れて本の中に閉じこもりがちな子どもだったから行くことになった。
だから最初は全く進級しなかった。
腰にヘルパーを巻いて背泳ぎをするんだけど、こんなことやりたくないと反発する気持ちゆえに
足を曲げちゃいけないと言われているのに曲げたりでちっとも前に進まない。
2時間ぐらいあっただろうか。全てが苦痛だった。
それで1年間同じところで足踏みしてたのが、あるとき吹っ切れてそこからは早かった。
背泳ぎ、クロール、平泳ぎ、バタフライと一通り泳げるようになった。
タイムを計る上級コースに移る手前まで来て、ちょうど中学校に上がる頃だったのでそこでやめることにした。
あのときスイミングスクールに通っていなかったら、僕は引きこもったままになっていたかもしれない。
人生を変える出来事のひとつだった。


全国にヤクルトのスイミングスクールがあるものだとと思ってた。
青森市にふたつ、八戸と弘前にもある。スイミングスクールといえば、ヤクルト。
でも東京で見た記憶がない。
今調べてみたら青森だけなんですね。
簡単なホームーページがあって、
http://www.e8960.com/swimming/
そこには「青森県からカナヅチをなくしよう」という目標が冒頭に掲げられている。
でもなぜそれがヤクルトなのかはわからないまま。
昨日の話を聞いて、ヤクルトレディの巡回サービスにどこかつながるものがあるよな、と思う。
何よりもまず周りの人の役に立ちたい、という会社なのだろう。


それにしても、今年のスワローズ。
故障者続出でしょうがなかったとはいえ、遂にロッテよりも勝率下回るか…