映画の話

『インサイド・ディープ・スロート』 etc.

・元美容師だった監督のジェラルド・ダミアーノは結局、 『ディープ・スロート』で儲けることはなかった。 「タイムズ」紙で取り上げられ、一般市民もが劇場に足を運ぶようになって ニューヨークのタイムズ・スクエアでの初公開から2年を経て それでもまだ…

『ストーンズ・イン・エグザイル』

昨日の夜、吉祥寺のバウスシアターに 『ストーンズ・イン・エグザイル』のレイトショーを見に行った。 副題は『「メイン・ストリートのならず者」の真実』 1971年、ストーンズは93%という不当な税金を逃れるために イギリスを離れ、キース・リチャーズの借り…

『パリ20区、僕たちのクラス』

昨日の夜、岩波ホールに『パリ20区、僕たちのクラス』を見に行った。 神保町で長いこと働いてきたのに、実は初めて。 なんだか格式があって、敷居が高そうで・・・ 入ってみたらやはり年齢層が高く、 眼鏡をかけてスカーフを巻いた知的なおばさんたちという…

『アウトレイジ』

北野武監督の最新作。カンヌに出品されるも、無冠。 それも頷ける。面白いんだか面白くないんだか、日本人でもよく分からないと思う。 日曜午前の木場の109シネマはガラガラだった。ヒットしてないんだろうな。 http://office-kitano.co.jp/outrage/main.htm…

『ソウルパワー ザイール'74 伝説の音楽祭』

金曜の夜、バウスシアターに『Burning』を見に行ったら 昼間は『ソウルパワー ザイール'74 伝説の音楽祭』という映画をやっていることを知る。 1974年、モハメド・アリがザイールのキンシャサで ジョージ・フォアマンと行った世界ヘビー級タイトルマッチ。 …

Mogwai 『Burning』

5月に入った辺りから Mogwai にはまっている。 静と動のコントラストのくっきりした、ヴォーカルなしの轟音。 iPhone に入れて歩くにはちょうどいい。 ・2作目『Come On Die Young』 (初期の代表作) ・EP『My Father My King』 (スティーヴ・アルビニが…

「イングロリアス・バスターズ」「トウキョウソナタ」

昨晩、タランティーノ監督の「イングロリアス・バスターズ」を観た。 面白かった。特に言うことはない。 - 続けて今晩観たのは、黒沢清監督の目下最新作「トウキョウソナタ」 突然のリストラを受けて緩やかな崩壊の始まる4人家族と、その再生を描く。 前半…

アカデミー賞を予想する '10

今更かつ直前だけど、アカデミー賞を予想する。 今年は何と言っても『アバター』ですね。 この映画をもってして始めて映画は21世紀に入ったと思う。 CGが行き着くところまで行って、3Dメガネをかけてるからというだけでは説明のつかない、 圧倒的な存在感が…

『指輪物語』『ロード・オブ・ザ・リング』

この秋から冬にかけて編集学校の物語講座を受けるに当たって、 「これぞ物語」的な超大作に事前に触れておきたいと考えた。 真っ先に思い浮かんだのが『指輪物語』相手にとって不足はなし。 結局物語講座が終わっても全部読み通せず・・・ 世の中にあまたあ…

『イースタン・プロミス』『バカのハコ船』『ディープ・スロート』

『イースタン・プロミス』 デヴィッド・クローネンバーグ監督の目下最新作(2007年)。 ナオミ・ワッツ扮する主人公がふとしたことからロンドンのロシア系マフィアと接点を持つようになる。 豊かな生活を夢見てロシアの片田舎から出てきた14歳の少女が麻薬中…

『ホリデイ』『死霊のしたたり』

先々週の日曜にまとめて見た映画。 - 『ホリデイ』 ロンドンの新聞社で働くケイト・ウィンスレットと ロスで映画の予告編を製作する会社を経営するキャメロン・ディアス。 それぞれ恋人に去られ、失意のクリスマスを1人で過ごすことになり、「あーあ」とい…

『パラノーマル・アクティビティ』『かいじゅうたちのいるところ』

先週の月・火とレイトショーを見に行った。 - 『パラノーマル・アクティビティ』 僕は見たことないけど、CMが話題となったホラー映画。 監督の自宅(だけ)で撮影、なんと15000ドルという低予算で製作され、それが全米大ヒット。 パラマウント映画がリメイク…

『プライベート・ベンジャミン』『ミスター・ロンリー』

『プライベート・ベンジャミン』 70年代後半ぐらいから80年代前半ぐらいまでの ウェルメイドなアメリカのコメディ映画を見てみたく思い、 そうだ、ゴールディ・ホーン主演のこの映画を、となる。 生粋のコメディエンヌであるゴールディ・ホーンが今回演じる…

『その男狂棒に突き』『Mr. & Mrs. スミス』

『リンダ・リンダ・リンダ』が素晴らしかったので 山下敦弘監督の作品は一通り見て見ようと思い、まずは短編『その男狂棒に突き』 この前『リンダ…』を借りたときにレーベルの作品紹介の中に入っていて、 すごいインパクトがあった。 『刑事まつり』シリーズ…

『リンダ・リンダ・リンダ』『アイガー・サンクション』

引き続き、最近見た映画について。 『リンダ・リンダ・リンダ』 http://www.bitters.co.jp/linda/ 山下敦弘監督の作品なんだけど、この人の初めて見た。 『どんてん生活』『ばかのハコ船』『リアリズムの宿』といった作品で脚光を浴びる。 作品自体は地味で…

『アバター』『インビクタス』

一昨日、梅田で見た『アバター』と昨日京都の河原町で見た『インビクタス』について。 - あの『タイタニック』のジェームズ・キャメロン監督の12年ぶりの最新作。 公開40日にして『タイタニック』の興行収入記録を抜き去り、歴代No.1に躍り出たという。 先日…

『ゾンビ・ストリッパーズ』

『ゾンビ・ストリッパーズ』2008年の作品。 あれは2年前の12月だったか、月曜からの大阪出張で日曜に大阪入り。 高校の友人に会って通天閣を見に行ったときに新世界界隈をほっつき歩いていたら 路地裏にいかにも場末な感じの小さな映画館があって、そこにこ…

『SAW』『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』

前から気になっていたサスペンス・ホラー『SAW』を見てみた。 2004年の1作目が話題になって、1年に1作で今や『SAW6』まで続いたこのシリーズ。 「低予算の割に」ってのが売りだったけど、ほんとあらゆる意味で安っぽかった。 殺人鬼ジグソウが死んだ後も…

『シッコ』

今、マイケル・ムーア監督の最新作『キャピタリズム〜マネーは踊る〜』も上映されてますが。 なんだかすっかり過去の人になってしまったように思う。 『ボウリング・フォー・コロンバイン』(2002年)で脚光を浴びて 著書『アホでマヌケなアメリカ白人』(20…

『僕の彼女を紹介します』『私の頭の中の消しゴム』『プラダを着た悪魔』

『猟奇的な彼女』の監督クァク・ジェヨンと主演チョン・ジヒョンのコンビ、2作目。 『猟奇的な彼女』は何年か前、話題作だからと言うので余り期待せずに借りてきて見て、 その面白さに唸らされたことがある。 よくできているし、甘酸っぱい感覚がとにかく感…

『ペレ』『愛の風景』

カンヌでパルムドールを2回獲得している監督は僕が知っている限りこれまで、4組。 ・今村昌平『楢山節考』『うなぎ』 ・エミール・クストリッツァ『パパは出張中!』『アンダーグラウンド』 ・ダルデンヌ兄弟『ロゼッタ』『ある子供』 ・ビレ・アウグスト…

「グエムル −漢江の怪物−」「オールド・ボーイ」

TSUTAYA DISCAS を利用するようになって、昔見逃した作品ばかり借りて見ている。 そうだ、あれ絶対見なきゃと思ったのが『グエムル −漢江の怪物−』 『殺人の追憶』のポン・ジュノ監督がつくった現代ソウルの怪獣映画。 面白かった。久々に無条件で面白い映画…

「父/パードレ・パドローネ」「サン・ロレンツォの夜」

イタリアのタヴィアーニ兄弟の映画に興味を持つ。 レンタルではなかなか見つからないだろうと中古で買うことにして、 探してみたら中野ブロードウェーのレコミンツで 『父/パードレ・パドローネ』『サン・ロレンツォの夜』を見つけた。 定価以下で。迷わず…

「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」

12月、編集学校の課題にプライヴェートの時間のほとんどを取られて 部屋を片付けることができず、本にCDに新聞とあれこれが散らかっていて 足の踏み場もない状態になっていた。 そんなある日、床に積み上がった新聞の山へ足を伸ばした。 踵をそーっと置いた…

「フォー・ウェディング」「ブロークン・フラワーズ」

TSUTAYA DISCAS から借りた『フォー・ウェディング』を見た。 ワーキング・タイトルが製作した 純英国風のスタイリッシュ(?)なラブコメをぼけーっと鑑賞したい気分だった。 ヒュー・グラント扮する主人公とその友人たちは皆独身。 たびたび結婚式で顔を合…

「ファニーゲーム U.S.A.」「イントゥ・ザ・ワイルド」

年末に TSUTAYA DISCUS で借りて見た2本について。 「ファニーゲーム U.S.A.」「イントゥ・ザ・ワイルド」 - 「ファニーゲーム U.S.A.」はミヒャエル・ハネケの「ファニー・ゲーム」を その名の通り舞台をアメリカに移して完コピしたというもの。 細かく見…

「めぐりあう時間たち」

引き続き、『めぐりあう時間たち』 公開当時に劇場で見て、今回DVDを入手して2回目。 うーむ。やはりこれは傑作だ。よくできている。 ヴァージニア・ウルフの人となりを映像でイメージ固めしたいと思って見たんだけど、 これでアカデミー主演女優賞を獲得し…

「ハワーズ・エンド」

先日の続き。『ハワーズ・エンド』について。 E・M・フォースターの1910年の原作をジェームズ・アイヴォリーが映画化。 原作は池澤夏樹の世界文学全集にも選ばれている。 舞台は19世紀末のイギリス。階級の異なる人々の恋のから騒ぎ。 同じフォースター原…

「バージニア・ウルフなんかこわくない」

編集学校の課題の関係で今から100年前の物事を調べているうちに ブルームズベリー・グループに興味を持ち、 その中でもヴァージニア・ウルフがやはり気になって。 評伝を書くっていうことで、関係しそうな映画を何本か TSUTAYA DISCAS で借りて見てみた。 「…

「ウィトゲンシュタイン」

編集学校の課題の関係で、ブルームズベリー・グループに興味を持つ。 今から100年前。ケンブリッジ大学の「使徒会」と呼ばれるエリートたちの集まりの私家版が 後の小説家ヴァージニア・ウルフの家で行われるようになり、 (ヴィクトリア朝的価値観の束縛か…